肥満とは体脂肪が過剰に蓄積した状態です。臨床的には標準体重を20%以上超過している者を病的肥満として治療や指導の対象としています。

肥満症は単純性肥満と症候性肥満とに分類されます。肥満の大部分(90%以上)は体質的要因や生活習慣、特に食生活の在り方に原因がある単純性肥満で、残りの極く一部が内分泌異常、代謝異常、或は薬物などに起因する症候性肥満です。単純性肥満は加齢と共に増加進行する傾向があります。

漢方治療の対象となるのは主に単純性肥満です。適切な食餌療法と運動療法に漢方治療を組み合わせると治療効果が一層高まります。

漢方医学的に見ると肥満の原因となる病態は、食積、痰飲、気滞、それに瘀血が考えられます。

こんな方にお勧めします。

あ医者様から痩せる(やせる)ように言われた方

各種の療法で失敗し、半ば諦めている方
二重アゴをスッキリ、美人になりたい方

2段がまえのお腹の脂肪を減らしたい方

腕が太すぎノースリーブの服が着られない方

ステキなニューファッションを着てみたい方

夏の汗かきで体臭、股ずれに悩んだ方


概 要

肥満が引き起こす深刻な生活習慣病・ダイエットの目的は健康美にあり

これまでは「肥満」というと、単にプロポーションや見た目の美しさに関する問題として取り上げられてきた傾向があります。しかし、肥満が生活習慣病などの深刻な病気を引き起こす原因の一つであることが解明されている現在、スタイルの美しさだけを追求するダイエットは、時代に逆行していることになります。何のためにダイエットをするのか、目的意識をしっかり持つことが、健康的な美しさを手に入れる一番の早道です。

肥満はさまざまな病気の引き金になります。心臓や血管障害など、生命を左右する病気を誘発しかねません。肥満者の死因のトップは糖尿病で、糖尿病の発病率も標準体重者の約五倍になっています。

肥満者が合併しやすい生活習慣病には、高脂血症、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患、心筋梗塞、脳梗塞、脳血栓、狭心症などがあります。

肥満は、それぞれの体質と長い間の生活習慣の積み重ねから生まれます。日本人の場合、子どもの時から受験勉強が中心で運動があまり重視されていない他、大人の場合も同様に仕事が中心で、運動や散歩をする時間が少ないのが現状です。運動不足は、血行不良の瘀血太りになりがちです。

食事も肉食中心で、食物繊維が豊富な野菜や海藻類が不足がちです。また、スナック菓子やインスタント食品などの摂取が多く、カロリーだけは充分過ぎるほどなのに、栄養バランスの悪い「現代型栄養失調」傾向にあります。過食傾向にある湿熱太りは、この体質(証)です。

精神的な生活上の圧力も肥満の原因になります。高度情報化時代で競争社会に生きる私たちは、常に生活上の圧力にさらされており、気滞太り体質(証)のように、上手に生活上の圧力を解消できないと気(エネルギー)の流れが停滞して肥満をまねきます。また、もともと胃腸機能が弱くて気が不足している気虚太り体質(証)も、精神的生活上の圧力が新陳代謝を低下させる原因になります。

短期目標のダイエットは不健康の源・長期目標の体質改善で健康を目標に

若い女性を中心に話題になっている、短期間での体重減少を目的にしたダイエットの多くは、りんごダイエットなどのように、単純な食事療法が中心ですが、仮に成功したとしても肌が荒れたり、髪の毛がパサついたり、栄養不足になって貧血や無月経になったりと、健康面でも美容面でも障害を引き起こすことがあります。

また、人はそれぞれ違う体質を持っていますから、一つの方法がすべての人に効果があるわけではありません。

漢方ダイエットは、なぜ肥満になったのか、一人ひとりの体質や太り方などに応じて肥満の原因をつきとめ、肥満になりやすい体質を改善することが基本です。肥満しやすい体質を改善すれば、リバウンドの危険もなく、健康を維持しながらダイエットすることが可能です。

まず、自分がどの体質(証)なのか、体質を見極めることが第一歩です。

そして単純な食事療法だけでなく、バランスのとれた食事とお茶、運動、漢方薬などの総合療法で肥満体質を改善していきます。

日本のことわざにもあるように、漢方ダイエットはまさに「急がば回れ」です。何度もダイエットを繰り返して健康を損なうよりも、長期的に体質改善することこそが、いつまでも健康美を保つ秘訣です。



食 養

食養肥満(ダイエット・メタボ)-Top-対応の方は、次の食材を積極的にお召し上がりください。

肉 果物 野菜 温野菜 魚

ダイエットというとすぐに思い浮かべるのが「食事制限」です。でも単に食べる量を減らすだけでやせるわけではありません。 無理に我慢したり、朝食を抜いたりすると、反対に太りやすい体になったり、反動で食べすぎてリバウンドする結果になります。 健康美を目指す漢方ダイエットは、各体質に適した脂肪をためない「太りにくい食事」が基本です。

今日からあなたも試してみませんか。>

太りにくい食事の7原則

「単純に食べる量を減らせばやせる」と思っている人はいませんか。実は、ダイエットで最も大切なのは、むしろしっかりと栄養バランスのとれたものを食べることなのです。漢方ダイエットの目的は、脂肪をためにくい体質に合った食事法で、太りにくい体質を作ることにあります。

食べる量を減らすと、食べ物を消化して体に必要な栄養素にするエネルギーである「気」が足りなくなってしまうのです。気が不足すると基礎代謝が低下して、血液や水分の循環も悪くなり、食べた分だけ脂肪を蓄える結果になります。

自分の体質に適した基礎代謝を高める食事法で、三食きちんと食べることが健康的なダイエットの早道です。まずは、基本の7原則をしっかりマスターしましよう。

①お目覚め食に果物をとる

朝は腸のクリーニングタイムです。無理をして消化しにくい動物性タンパク質や高脂肪の食べ物をとるより、まず、消化酵素をたっぷり含んだ生の果物をとるようにしましよう。果物をとる時は冷やさずに室温で食べるのがポイントです。

②朝食と昼食はしっかり。タ食は少量に

昼間に比べて活動量が少ない夕食を多くとると脂肪が蓄積しやすくなります。昼食は九分目、夕食は七分目を心がけましょう。

③一日一回は伝統的な和食メニューを

味噌汁や納豆、豆腐などの大豆食品に漬物という伝統的な和食は、代謝を助ける消化酵素がたっぷり含まれています。一日一回はこの組み合わせのメニューにしましよう。

④寝る3時間前は食べない

寝る前の間食は、そのまま脂肪に。空腹の時は精神を安定させるホットミルクでしのぎましょう。

⑤調理には抗酸化作用のある油で

調理には、低カロリーで抗酸化作用のあるオリーブ油やキャノーラ油を使用しましょう。

⑥栄養バランスのとれたメ二ューに

不足がちなビタミンやミネラル、食物繊維は代謝を高め、血液や胃腸をきれいにする働きがあります。一日三皿の野菜料理。週に四回は魚料理。毎日海草類やキノコ類、コンニャクでバランスのとれた食事にしましょう。

⑦昼食またはタ食前に野菜ジュースを

メインの食事の前に野菜ジュースを飲むことで、胃腸の働きを促進し、消化力を高めることができます。

一般的な肥満は食べ過ぎからきているのがほとんどです。

肥満は典型的な食原病です、ですから毎日三度の食事のコントロールが第一【優先事項】なのです。

食事のコントロールがしっかりできているという大前提がないとどんな"やせる法"をしても焼け石に水でしかありません。

運動してもとり入れるのがそれを上回れぱナンにもなりません。

たいていの肥満の方は運動しても摂取オーバーの罠(わな)にはまってしまうのです。


備 考

「メタボによるフレイル(高齢者虚弱)(心身の虚弱)リスク」について

肥満でフレイル(高齢者虚弱)に

体重計 つい食べ過ぎて体重が増えやすいです。運動不足が重なると肥満領域の体重に突入しますよ!。

BMI(体格指数=体重kg÷身長mの2乗)で「25」以上は肥満とされ、身長170センチの人なら体重73キロ以上に相当します。

太っていて身体ががっちりしていれば、痩せている人よりも体力がありそうなメージを持つ人もいるでしょう。

しかし、肥満の人もフレイル(高齢者虚弱)(心身の虚弱)に陥りやすく、健康寿命を縮め、要介護リスクを上げてしまいます。

痩せている人は体力が低下しやすいのですが、太っている人も、腰痛や膝痛などで身体活動能力が低下するとフレイル(高齢者虚弱)に陥りやすいのですよ!。

健康予防のギアチェンジ

肥満や糖尿病などを合併したメタボリックシンドロームの方は減量のために運動習慣と食事制限が欠かせません。

フレイル ところが、フレイル(高齢者虚弱)予防では体重を維持してタンパク質などを含め、食事をしっかりとることが求められます。

つまり、予防が相反しているのですね!。

肥満やメタボは痩せなければいけないのですが、フレイル(高齢者虚弱)は体重が減ってやせてしまうと悪化しますよ!。

フレイル(高齢者虚弱)予防のために食べ続けて運動不足のままでは、当然のことながら、肥満やメタボは解消しにくいです。

肥満&メタボとフレイル(高齢者虚弱)を同時に予防するのはとても難しいのですよ!。

肥満やメタボはフレイル(高齢者虚弱)リスクがあることを意識して、中年期の早い段階で改善・予防に努めましょう。

65歳未満と65~74歳のプレ高齢者の一部が肥満やメタボ対策をしっかり行う。

75歳以上はフレイル(高齢者虚弱)対策に切り替えることが重要です。

2型糖尿病治療薬で改善

そもそもメタボは、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を発症するリスクが、そうでない人と比べて約3倍といわれます。

フレイル(高齢者虚弱)は要介護のリスクを上げますが、脳卒中も認知症に次いで要介護の原因の第2位に位置します。

また、中年期の肥満が認知症のリスクを上げるとも報告されています。

つまり、メタボを改善するとフレイル(高齢者虚弱)、認知症、心血管疾患の3つの要介護リスクを下げることにつながるのですね!。

肥満 現在、2型糖尿病の治療薬は、食欲を抑えながら体重も落とすことができるものがあり、血糖値コントロールに取り組みやすくなっています。

メタボも解消しやすい。健康診断で異常値を指摘された場合は、放置せずに適切な治療を受けていただきたいと思います。

肥満やメタボを改善して75歳の壁を乗り越えしょうね!。

健康長寿を伸ばしたならば、さらに高齢期の健康維持のためにフレイル(高齢者虚弱)予防に励む。それが、生涯続く健康寿命に寄与しますよ!。

老人 2型糖尿病の治療で75歳の壁を乗り越え、現在、90歳以上で元気に過ごされている患者さんはたくさんいます。

元気に長生きを実現するため、メタボは放置しないようにしましょうね!。

【健康常識】に異を唱える by 和田秀樹

健康常識とは?

介護などに頼らず、健康で自立した日常生活を送れる期間を「健康寿命」と呼ぶ。

8月、健康計測機器メーカーのタニタが40才以上の男女2500人に行った調査では、理想の健康寿命の平均は男性85.55才、女性86.99才だった。

厚生労働省調査による実際の健康寿命の男性72.68才、女性75.38才とは、男女とも10才以上の開きがあった。

“実力以上”の健康長寿を望む多くの人が頼るのが、世にはびこる「健康常識」だ。

だが精神科医で老年医学の専門家の和田秀樹さん(62才)はその常識に異を唱える。

「日本の医者や病院が紹介する健康常識は、実は日本人を対象とした科学的調査では証明されておらず、本当に日本人に当てはまるかわからないものが少なくない。

それどころか、なかには不健康をもたらすものもあるのです」

著書『80歳の壁』などが次々とベストセラーになった和田秀樹医師。医学界の権威に背を向ける“異端の医師”が、従来の常識を覆す数々の健康法を披露する。

食生活

健康づくりの基本とされる食生活。多くの医者は「カロリーオーバーに気をつけて」と忠告するが、和田秀樹医師は「高齢者は食事をがまんする必要はない」(和田秀樹医師)とピシャリ。

「多くの高齢者は“たいして働いていないから食事は低カロリーでいい”と考えますが、大きな誤解です。高齢になるほど意識してたんぱく質を摂らないと、筋肉の衰えや減少が進み、老化が進行する恐れがあります。

たとえ本人が“あじの干もので充分”と思っても、それでは栄養不足でかえって不健康になります」(和田秀樹医師)

ステーキ 同様に「肉を食べすぎてはいけない」にも、だまされてはいけない。

「肉はコレステロールを多く含み、動脈硬化や心筋梗塞の原因になるといわれます。

しかし、コレステロールには免疫機能を高め、意欲や筋力のもととなる男性ホルモンを増やす作用があるので、性別を問わず健康のために肉を食べるべきです。ちなみに私は最近まで、朝食にステーキを食べていました」(和田秀樹医師)

実際、東京都老人総合研究所が70才の高齢者を対象に追跡調査を行った「小金井研究」で、コレステロール値と死亡率の関連を調べたところ、最も長生きしたのは男性190?219mg/dL、女性220?249mg/dLという、正常よりコレステロール値が高めのグループだった。逆に死亡率が最も高かったのはコレステロール値が男性は169mg/dL以下、女性は194mg/dL以下のグループだ。

塩分と脂肪

塩 医者の健康指導の王道ともいえる「塩分は控えめに」にも和田秀樹医師は懐疑的だ。

「塩分が多いと血圧が上がって動脈硬化を引き起こすとされますが、そもそも塩分を控えると動脈硬化が防げるという国内の疫学調査はありません。

また高齢者は腎臓にナトリウムをためる機能が低下します。そこからさらに塩分を控えると低ナトリウム血症を発症し、意識障害や痙攣を併発するリスクが高まります」(和田秀樹医師)

多くの医者が「身体に悪い」と敵視する脂肪にもさまざまな健康維持の役割がある。

「脂肪には脂肪を燃焼する作用があるので、脂肪を完全に断つと古くなった脂肪を燃やせず、筋肉を分解してエネルギーを作ることになります。そのため身体脂肪が減らず、筋肉量が低下します。

また脂肪は身体や免疫細胞の材料として欠かせず、料理を楽しむうえでも大切な調味料。過剰摂取はNGでも、適度に摂ることは心身に好影響を与えます」(和田秀樹医師)

「食」の大切さ

老年医学の専門家として多くの患者を診た和田秀樹医師が改めて「食」の大切さを説く。

「日々、多くの患者を診療して感じるのは、“食べていない人は元気がない”ということです。食事制限で低カロリーや低栄養、低コレステロールの食事を続けると早く老けてしまう。

栄養が余ることで生じる害より、栄養が足りないことで起きる害の方がはるかに大きくなります。

人間の身体が欲するのは、身体に必要なものなので、まずは食べることを優先してほしい。

ラーメン また、自炊よりコンビニ弁当や外で食べるラーメンの方が多くの食材を使っていて、身体にいい可能性が大きい。外食に罪悪感を持たないでください」(和田秀樹医師)

和田秀樹医師の食生活

そんな和田秀樹医師の食生活はというと……。

「食事制限はもってのほかで、朝はおにぎりや総菜パンにヨーグルト、昼は好物のラーメンとチャーシュー丼に卵をトッピング。

夜は、週3日は外食で晩酌のワインを欠かさず、それに合わせて魚と肉を2日おきで交互に食べています」(和田秀樹医師)

新・健康常識

食事制限はしなくてもいい、カロリーオーバーしてもいい。
肉は食べた方がいい。
塩分不足は命を左右する。
脂肪は身体に悪くない。
コンビニ弁当や外食のラーメンを食べてもいい。
血圧などの数値にこだわらない。
やせ型より太り気味の方が長生きする。
60代以降のダイエットは健康に直結しない。
治療や節制の有無で寿命が変わるかどうかはわからない。
「心臓ドック」と「脳ドック」さえ受けておけばいい。
病院や医者の肩書より実績。
激しい運動は老化を促進させる。
睡眠時間は何時間でもいい。

【プロフィール】

和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年6月7日生まれ、大阪府出身。
東京大学医学部卒業後、東大医学部附属病院精神神経科、高齢者専門の浴風会病院、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、11月よりルネクリニック東京院院長。
30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わる。著書『80歳の壁』がベストセラーに。