食積(脂肪肥り)は、日頃から美食、過食による栄養過多に加えて、運動不足などがあって肥満するもので、飽食の時代といわれる現代にあっては最も多いタイプです。
概 要
食欲旺盛で体力があります。美食・過食傾向。全体的に太っています。体に熱がこもるタイプで口の渇きや便秘になりやすいです。
主症状
血中のコレステロール値が高く、高脂血症、糖尿病、痛風などが見られます。
治 療
体力があるタイプなので、余分なエネルギーを発散できる全身運動の水泳やジョギングがおすすめです。ただし、汗をかきやすい体質なので、発汗しやすい夏は水中運動や水泳をしてください。
使用漢方薬
次の漢方薬が、肥満(ダイエット・メタボ)・食積(脂肪肥り)・に対してよく効く可能性が高いです。
処方名:防風通聖散
解表(発汗)、攻下(寫下)、利尿に清熱の働きを有し、主に中年の脂肪肥りの人の食積、体毒を汗、便、尿にして排泄させる。肥満、便秘、のぼせを目標に用いる。
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処方名:温胆湯
熱痰、胃腸衰弱者の不眠・神経症(不安・イライラ)など季節や環境の変わり目に
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【防風通聖散の症例・治例】
次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
〈漢方薬と家族の協力で肥満を解消〉
10代のK子さん(当時17歳)は160cmで80kgという大柄な女性でした。洋服のサイズは18〜20号で、既製の服はなかなかありません。健康はもとより美容を気にする年ごろということもあって、ある日、漢方薬を扱っている医師のもとを訪ねてみることにしました。
便秘気味で冷え症のK子さんには、防風通聖散という漢方薬が処方されるとともに、それまで食事の代わりに食べていたスナック菓子とジュースを一切やめること、食事は豆腐や火を通した野菜、小魚を中心にバランスの取れた内容にすること、冷えを解消するために半身浴をすること、さらに運動として通学の際に1駅分を歩くことなどが指導されました。
K子さんは医師からいわれたことを忠実に実行しました。また食事は、家族全員が同じものを食べるなどして協カし、K子さんのストレスを軽減しました。そして漢方薬もきちんと飲み続けた結果、2年ほどで標準体重にまで落とすことができたのです。
今では結婚して子どもももうけ、毎日元気に過ごしています。
・現代病名:肥満
【防風通聖散の症例・治例】
次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
〈約半年でスリムになった〉
果物屋の奥さん、Nさん(42歳)は、背が高く、がづちりとした体格ですが、体重は70kgと太っていました。おなかがポコンと盛り上がる太鼓腹のタイプです。なぜ太ってしまうのかというと、商売柄売れ残ってしまうリンゴやバナナなどの果物を、もったいないので、自分で食べてしまうからだといいます。これまでいろいろなダイエット法を試しましたが、やせられませんでした。
便秘気味だという話だったので、防風通聖散を飲んでもらいました。約半年ほどで体重は15kgほど落ち、スリムになり、体が軽くなったと喜んでいます。
・現代病名:肥満
【防風通聖散の症例・治例】
次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
〈便秘、肥満〉
年齢/50歳代。性別/女性。体格は脂肪太りで、便が硬いとのことです。ダイエットで色々な製品を試しましたがなかなか痩せなかったので、防風通聖散を用法・用量通りに服用していただいた。
便秘の改善が著明で継続していただいています。現在はお腹が出ていたのが目立たなくなり、でっぷりとした感じがなくなり、体型がスッキリしてきました。5年くらい継続して服用中です。
・現代病名:便秘、肥満
【防風通聖散の症例・治例】
次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
〈防風通聖散と運動で数値が下がる〉
Bさん(52歳)は、身長が150cmで体重58sの女性です。特に自覚症状はなかったものの、健康診断でコレステロール値が300r/dlと指摘されたため、心配になって近所の漢方クリニックの診察を受けに行きました。Bさんは固太りタイプで、基本的に体も丈夫だったので防風通聖散が処方されました。また、医師から薬の服用と同時にウォーキング程度の軽い運動を継続的に行うように勧められました。
防風通聖散を服用しながら運動も続けたところ、3ヵ月後には体重が52sまで減り、コレステロール値も230r/dlまで下がりました。
もうひと息なので、そのまま服用と運動を続けていくつもりのBさんです。
・現代病名:高脂血症
【防風通聖散の症例・治例】
次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
〈肥満〉
54歳の主婦。ここ十年位、少しずつ太るのが悩みのたねで、とうとう160センチにも満たない身長なのに体重が83キロにまでなってしまいました。と、同時に腰痛と高血圧、それに便秘に悩まされるようになりました。見事に太ってがっしりした赤ら顔の、のぼせ症でいつも顔に汗をかいています。脈はしっかりしていて、血圧は176/96もあります。舌は暗紅色で舌の裏の静脈が怒張して蛇行しています。厚い舌苔もあります。食積(食べ過ぎ)と瘀血の証のようです。
そこで防風通聖散の煎じ薬と、瘀血を取る目的で桂枝挟苓丸の丸薬を服用して頂くことにしました。もちろんダイエットと運動の指示を添えた上です。律儀にダイエットと服薬を励行された甲斐あって、この方は服薬開始から二週間で血圧が161/92に下がり、一ヶ月後に10キロの減量に成功、さらにその後2キロ減り血圧は153/90に落ち着きました。
・現代病名:肥満
舌 質
紅舌
舌 苔
黄膩苔
脈 診
沈滑
食 養
食欲旺盛タイプなので、お茶や野菜ジュースなどで空腹感を鎮めるのがポイント。良く噛んで食べると少量でも満足感が得られます。
●こんにゃく
食欲旺盛で早食いしゃすいタイプなので、少ない量でも満腹感を得られるようにゆっくり噛んで食べるのがポイントです。体にたまった熱をとり、水分代謝を促進する大豆食品やトマト、キュウリなどの夏野菜、食物繊維たっぷりの根菜や海藻類を食しましょう。
備 考
「メタボリック・シンドローム」とは
最近、「メタボリックーシンドローム」ということばを、よく聞くようになりましたが、その意味を正しく理解している方は決して多くはないでしょう。メタボリックーシンドロームとは、内臓脂肪が蓄積した肥満を背景に、いくつもの生活習慣病を併せ持っている状態のことを指し、別名「内臓脂肪症候群」とも言われます。では、メタボリック・シンドロームはどのようにして起こるのでしょうか?
最近の研究によると体の脂肪細胞からは、アディポサイトカインという生理活性物質が分泌されます。このアディポサイトカインには善玉と悪玉の2種類があり、善玉アディポサイトカイン(アディポネクチン)は、動脈硬化を抑えたり、インスリンの働きを良くする働きをもっています。
かたや悪玉アディポサイトカインは、血糖値や血圧を上げたり、中性脂肪を増やしたり血栓をつくりやすくします。内臓脂肪細胞が肥大するとこの悪玉アディポサイトカインの分泌が盛んになる一方、善玉アディポサイトカインの働きが弱くなってしまうのです。その結果、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が引き起こされるというわけです。メタボリック・シンドロームになると、10年後に狭心症や心筋梗塞脳梗塞になる危険度が、正常な人に比べて36倍も高くなってしまうそうです。
運動と食養生で、内臓脂肪の蓄積を改善
では、内臓脂肪はどうして蓄積してしまうのでしょう。生活の悪習慣が、メタボリック・シンドロームの体質を作る根本の原因です。主なものとしては、
@食の悪習慣
A運動不足
Bストレス
が考えられます。生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症)の予防と治療には適正なエネルギー量の食事・バランスのよい食事規則的な食事習慣・そして適度な運動がとても大切です。
これらの原因によって、脂肪やコレステロール、余分な水分などが体内に蓄積し、新陳代謝が妨げられます。新陳代謝が滞ると、血液がドロドロになり、血栓などができやすくなってしまいます。日頃の生活の注意点として、ストレスをうまく発散して暴飲暴食や、お酒を控えめに。タバコを止め、肉や脂っぽいもの、チョコレートや生クリームなど脂質と糖分の多いもの、果物、炭酸飲料の摂りすぎは禁物です。さらにコレステ□ール値の高い方は、卵の黄身や魚卵などを控えましよう。
中医学では内臓脂肪の蓄積の原因は、主に気・血・水の巡りが悪くなったり、気虚によって消化機能が低下することと関係があると考えられています。食養生の対策としては、食物繊維の多い穀物やきのこ、根菜類、利尿効果の高いお茶や、EPA、とDHAが豊富な青魚類をとることがおすすめです。食事は食べ過ぎを抑えるようによく噛んで食べ、毎日運動するよう心がけて、身体に溜まった余分な水分や老廃物を積極的に排出することが大切です。
体内を掃除し、老廃物を排出する食べ物
食物繊維が多い
玄米、そば、あわなどの雑穀類、昆布、わかめ、ひじき、海苔などの海藻類、しいたけ、えのきたけ、なめこ、マッシュルームなどのきのこ類、ごぼう、大根、たけのこ、かぶ、ニンジンなどの根菜類、小松菜、バナナ、山査子、ピーマン、パプリカ、こんにゃくなど利尿効果が高い
緑豆、春雨、冬瓜、はと麦など血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす
さんま、さば、いわし、あじなどの青魚類老廃物を排泄
烏龍茶、ブーアル茶、はと麦茶、杜仲茶、どくだみ茶など内臓脂肪を溜めないための10の心得!
1.食事(特に夕食)の量を腹八分目に2.間食はしない
3.味付けは薄めに
4.料理に砂糖をあまり使わない
5.緑黄色野菜を毎日食べる
6.生クリームやバターは控えめに
7.運動習慣を身につける(毎日30分以上、少し汗をかくように歩こう
8.お酒は1日2合以下、週に2日間は休月干日を設けよう
9.タバコはやめる
10.ストレスを上手に発散する
BMI(Body Mass Index)とは
BMIは体重(体格)指数のことで、体重÷身長÷身長で算出される体重(体格)の指標である。疾病との関連からこれに着目し疫学的に調査研究したTokunaga et al(1991)は、それが約22(kg/m/m)においてもっとも有病率が低くなるという結果を得、それぞれの身長においてBMIが22となる体重を「理想体重」とする(呼ぶ)ことを提案している。 BMI = 体重[kg] ÷ 身長[m] ÷ 身長[m]【BMI肥満度指数】
BMI指数 | 肥満度 |
18・5未満 | 痩せ気味 |
18.5〜24.9 | 標準 |
25.0〜29.9 | 肥満 |
30.0〜34.9 | 高度の肥満 |
35.0〜39.9 | 重度の肥満 |
40.0以上 | 危険な肥満 |
簡単な計算で、自分の肥満度を知ることができます。
BMI指数=体重(kg)÷身長(m)の二乗
(例)体重75kg、身長165cmの場合
75÷(1.65×1.65)=27.5 となり、
左の表と照らし合わせると、(肥満)となります。
BMI指数が25.0を超えると、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなってしまいます。
BMI指数の標準値は22.0で、最も病気にかかりにくい値と言われています。
自分にあった食事量は、標準体重から算出しましょう。 普通の生活をしている人は、標準体重【標準体重=身長(m×m)×22】に30Kcalを掛けた数字があなたの食事量になります。