気滞(肉肥り)は、活動的で食欲旺盛、筋肉質の肥満者にみられます。このタイプの方は精神的ストレスや不快な事があると肝気欝結を生じやすく、イライラ、易怒、のぼせ、口が苦い、あるいは眼の充血などを起こします。肝気が胃に横逆すると、脾胃の機能を乱し、時に胃酸過多となり、食欲を異常に亢進させ、その結果さらに肥満を生じることがあります。このタイプの肥満者は高血圧症や脂肪性肝障害、糖尿病等を併発しやすいです。
概 要
ストレスがたまりやすく、偏食傾向。イライラしゃすいです。下半身太りの洋ナシ型の体型が特徴。女性に多く見られます。
主症状
高血圧、更年期および閉経後の高脂血症、冠動脈疾患などが見られます。
治 療
熱しやすく冷めやすいタイプなので、過激な運動よりどこでも気軽にできるストレッチや太極拳など、緊張した筋肉を伸ばす運動で、気分もリフレッシュしてストレス解消をしましょう。
使用漢方薬
次の漢方薬が、肥満(ダイエット・メタボ)・気滞(肉肥り)・に対してよく効く可能性が高いです。
処方名:大柴胡湯
がっしりした筋肉質の肥満者で、著明な胸脇苦満と心下部の膨満感と抵抗(心下満)、便秘傾向を目標に用いる。
|
処方名:逍遙散
肝気鬱結・血虚・脾失健運が混在し、因果関係をもった病態
|
処方名:香砂六君子湯
処方名:シベリア人参
舌 質
紅舌
舌 苔
白膩苔または黄膩苔
脈 診
沈実あるいは弦
食 養
食生活にムラが出やすいタイプなので、食材の種類を多く、量を少なくして栄養バランスのとれた食事にするのがポイントです。
●香菜
偏食しやすいタイプなので、食材の種類を多くすることがポイント。ストレスで気が停滞しやすいので、理気作用のある柑橘系の果物やバジルやセージなどのハーブ類、セロリやセリ、シソなどの香り野菜、気分を穏やかにする茉莉花茶を。
備 考
「メタボリック・シンドローム」とは
最近、「メタボリックーシンドローム」ということばを、よく聞くようになりましたが、その意味を正しく理解している方は決して多くはないでしょう。メタボリックーシンドロームとは、内臓脂肪が蓄積した肥満を背景に、いくつもの生活習慣病を併せ持っている状態のことを指し、別名「内臓脂肪症候群」とも言われます。では、メタボリック・シンドロームはどのようにして起こるのでしょうか?
最近の研究によると体の脂肪細胞からは、アディポサイトカインという生理活性物質が分泌されます。このアディポサイトカインには善玉と悪玉の2種類があり、善玉アディポサイトカイン(アディポネクチン)は、動脈硬化を抑えたり、インスリンの働きを良くする働きをもっています。
かたや悪玉アディポサイトカインは、血糖値や血圧を上げたり、中性脂肪を増やしたり血栓をつくりやすくします。内臓脂肪細胞が肥大するとこの悪玉アディポサイトカインの分泌が盛んになる一方、善玉アディポサイトカインの働きが弱くなってしまうのです。その結果、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が引き起こされるというわけです。メタボリック・シンドロームになると、10年後に狭心症や心筋梗塞脳梗塞になる危険度が、正常な人に比べて36倍も高くなってしまうそうです。
運動と食養生で、内臓脂肪の蓄積を改善
では、内臓脂肪はどうして蓄積してしまうのでしょう。生活の悪習慣が、メタボリック・シンドロームの体質を作る根本の原因です。主なものとしては、
@食の悪習慣
A運動不足
Bストレス
が考えられます。生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症)の予防と治療には適正なエネルギー量の食事・バランスのよい食事規則的な食事習慣・そして適度な運動がとても大切です。
これらの原因によって、脂肪やコレステロール、余分な水分などが体内に蓄積し、新陳代謝が妨げられます。新陳代謝が滞ると、血液がドロドロになり、血栓などができやすくなってしまいます。日頃の生活の注意点として、ストレスをうまく発散して暴飲暴食や、お酒を控えめに。タバコを止め、肉や脂っぽいもの、チョコレートや生クリームなど脂質と糖分の多いもの、果物、炭酸飲料の摂りすぎは禁物です。さらにコレステ□ール値の高い方は、卵の黄身や魚卵などを控えましよう。
中医学では内臓脂肪の蓄積の原因は、主に気・血・水の巡りが悪くなったり、気虚によって消化機能が低下することと関係があると考えられています。食養生の対策としては、食物繊維の多い穀物やきのこ、根菜類、利尿効果の高いお茶や、EPA、とDHAが豊富な青魚類をとることがおすすめです。食事は食べ過ぎを抑えるようによく噛んで食べ、毎日運動するよう心がけて、身体に溜まった余分な水分や老廃物を積極的に排出することが大切です。
体内を掃除し、老廃物を排出する食べ物
食物繊維が多い
玄米、そば、あわなどの雑穀類、昆布、わかめ、ひじき、海苔などの海藻類、しいたけ、えのきたけ、なめこ、マッシュルームなどのきのこ類、ごぼう、大根、たけのこ、かぶ、ニンジンなどの根菜類、小松菜、バナナ、山査子、ピーマン、パプリカ、こんにゃくなど利尿効果が高い
緑豆、春雨、冬瓜、はと麦など血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす
さんま、さば、いわし、あじなどの青魚類老廃物を排泄
烏龍茶、ブーアル茶、はと麦茶、杜仲茶、どくだみ茶など内臓脂肪を溜めないための10の心得!
1.食事(特に夕食)の量を腹八分目に2.間食はしない
3.味付けは薄めに
4.料理に砂糖をあまり使わない
5.緑黄色野菜を毎日食べる
6.生クリームやバターは控えめに
7.運動習慣を身につける(毎日30分以上、少し汗をかくように歩こう
8.お酒は1日2合以下、週に2日間は休月干日を設けよう
9.タバコはやめる
10.ストレスを上手に発散する
BMI(Body Mass Index)とは
BMIは体重(体格)指数のことで、体重÷身長÷身長で算出される体重(体格)の指標である。疾病との関連からこれに着目し疫学的に調査研究したTokunaga et al(1991)は、それが約22(kg/m/m)においてもっとも有病率が低くなるという結果を得、それぞれの身長においてBMIが22となる体重を「理想体重」とする(呼ぶ)ことを提案している。 BMI = 体重[kg] ÷ 身長[m] ÷ 身長[m]【BMI肥満度指数】
BMI指数 | 肥満度 |
18・5未満 | 痩せ気味 |
18.5〜24.9 | 標準 |
25.0〜29.9 | 肥満 |
30.0〜34.9 | 高度の肥満 |
35.0〜39.9 | 重度の肥満 |
40.0以上 | 危険な肥満 |
簡単な計算で、自分の肥満度を知ることができます。
BMI指数=体重(kg)÷身長(m)の二乗
(例)体重75kg、身長165cmの場合
75÷(1.65×1.65)=27.5 となり、
左の表と照らし合わせると、(肥満)となります。
BMI指数が25.0を超えると、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなってしまいます。
BMI指数の標準値は22.0で、最も病気にかかりにくい値と言われています。
自分にあった食事量は、標準体重から算出しましょう。 普通の生活をしている人は、標準体重【標準体重=身長(m×m)×22】に30Kcalを掛けた数字があなたの食事量になります。