概 要
心火と腎水が交通しない病態。
老化や過労で精力や体液を消耗したタイプ。
【虚証】
慢性病・熱病・過労・精神的ストレスの持続などで腎の陰液(腎水)が不足し、心の陰液を滋潤できないために心火が抑制されないまま上亢したり、心火が熾盛で次第に陰血を消耗して腎陰(腎水)が虚し、心火が上亢したまま下交せず、腎水が不足して心の陰液を助けないために、心と腎が交通しなくなって重度の不眠をきたす病態です。
太陽が水を温めて水蒸気が上昇するように、心火(心陽)が下行して腎水(腎陰)を温め、腎水が上行して心の陰液を滋潤するという「水火既済」「心腎相交」の状態が正常であり、心火と腎水が相交しないこの病態を「心腎不交」といいます。
【主な症状】
・焦躁感があって夜通し眠れず
・輾転反側(何度も寝がえりをうつ)
・動悸
・口内炎
・頭のふらつき
・体の熱感
・咽の渇き
・腰や膝がだるく無力
・舌質が縫
・舌苔が少ない
・脈が浮で速<力がない
治 療
清心火・滋腎陰・交通心腎…心火を清すると同時に腎陰を滋潤して、水火既済を回復させます。
使用漢方薬
次の漢方薬が、不眠症に対してよく効く可能性が高いです。
処方名:天王補心丹
処方名:酸棗仁湯
処方名:六味丸
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食 養
不眠を解消するには、日頃の食生活もポイントとなります。
春菊やセロリ、セリなどの苦みがある香り野菜は、興奮を抑えて精神を安定させる働きがあります。
青じそを3枚ほどカップに入れてお湯を注ぎ、香りが出たら飲む「青じそ茶」やミントティも効果的です。
また、ミカンやオレンジなどの柑橘類もストレスを和らげ、リフレッシュさせる効果があります。
ミルクやヨーグルトなどの乳製品も鎮静効果があるので、眠れない夜はホットミルクでカルシウムの補給をしましよう。
ツ ボ
不眠に効くツボと足浴
「頭寒足熱」の言葉どおり、足を温めると眠りに入りやすくなります。
寝る前に足浴や不眠に効くツボを押して、リラックスしましよう。足の裏には、ツボが集中しているので、下記の「失眠」を中心に、全体をもみほぐすようにします。
失眠(しつみん)
足の裏のかかとの中央にあるツボ。神経を休めて内分泌の働きを整える効果があります。
養 生
不眠症は、精神心理的素因や生活環境と関係の深い疾患です。その治療は完全に薬に頼っては難しい場合もあります。したがって精神面のコントロールや生活環境改善のための養生が大切です。
1.ストレスや暴怒など激しい感情変化を避ける。気功や呼吸の調節法は、精神活動の安定に有効です。
2.就寝前に煙、酒、濃い茶、濃いコーヒーなどの飲み物は禁止します。
3.食事、特に夜食は控え目に、また辛い食物など興奮性の飲食物は避けます。
4.適度の運動(例えば、散歩、太極拳、気功など)は睡眠によいですが、寝る前の激しい運動はよくないです。
5.寝室の室温や明るさなどの調節も重要です。