人生80年時代といわれて久しくなりましたが、長い人生を明るく元気にすごすためにも、”健康な足腰”を保つことはとても大切です。

中医学の養生で体質を整えながら、腰や膝のつらい痛み、加齢による衰えを穏やかに改善していきましょうね!。


概 要

痛みの大敵は「冷え」と「湿気」

膝のつらい痛み

腰痛や膝痛など”関節や筋肉の痛み”を特徴とする症状を、中医学では「痺証ひしょう」と言います。

「痺」には「つまる、通じない」という意味があり、体内を巡る「気・血」の流れが悪くなることで痛みの症状が起きると考えます。

気・血の流れを悪くする主な原因は、「冷え」と「湿気」です。

気候や冷房などによって自然界の邪気「風邪」「寒邪」「湿邪」が体内に入り込むと、気・血の通り道がふさがれて流れが滞り、痛みやしびれの症状が起こりますよ!。

こうした痛みは初期の症状ですが、そのまま放っておくと気・血の流れがさらに悪くなり、強い痛みや症状の慢性化につながることもあります。

こうなると改善にも時間がかかってしまうので、初期の段階で早めの対処するよう心がけましょう。

また、骨や筋(腱やじん帯)は加齢によって衰えていくため、骨の成長・発育と深い関わりがある五臓の「腎」、筋を健やかに保つ「肝」の機能を高めることも大切です。

痛みを改善しながら肝・腎を強くして、健康な足腰をつくるよう心がけましょうね!。



証:痺証ひしょうの説明へ

治 療

ひざの痛みを引き起こす変形性膝関節症の原因・症状とひざをいたわる生活の送り方

変形性膝関節症とは?

ひざの関節は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の接する部分。

それぞれの骨の先端は関節軟骨という軟らかい組織で覆われ、骨が受ける衝撃を吸収したり、ひざの動きを滑らかにする役割をしています。

また、2つの骨のすき間にある半月板も衝撃を和らげるクッションの役割をしています。

変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)は、半月板に亀裂が生じたり、関節軟骨がすり減って炎症を起こす病気です。

年齢を重ね、長年のひざへの負担が大きくなることで発症しやすくなります。

変形性膝関節症の症状

通常、変形性膝関節症は、関節軟骨や半月板への小さな傷から始まり、何年もかけて徐々に進行します。 進行度合いは前期、初期、進行期、末期の4段階に分類され、次のような症状が起こります。

①痛み 軟骨がすり減っても、軟骨自体には神経がないため、痛みは生じないが、軟骨がなくなり、骨が露出すると骨の神経を刺激し痛くなる。

②曲がらない・伸びない 関節軟骨や半月板がすり減ると、ひざがこわばり、スムーズに動かなくなる。症状の進行に伴い、ひざの可動域が狭くなる。

③水がたまる 関節内は滑膜(関節を包む膜)から分泌される関節液で満たされ、ひざの動きをスムーズにしたり関節軟骨に栄養を与えたりする。滑膜に炎症が起こると関節液が過剰に分泌され水がたまる。

④早めに気づくためのポイント ひざの痛みを「年のせいだから」とあきらめている人もいますが、一度すり減った関節軟骨は元に戻りにくいため、放っておくと徐々に悪化します。快適な毎日を送るためにはなるべく早い時期に治療をはじめることが大切です。次の項目にあてはまる場合は、変形性膝関節症が疑われます。

<チェックリスト>

□ つまずきやすい

□ 正座ができない

□ 動き始めにひざが痛み、しばらく歩くと痛みがなくなる

□ ひざを曲げ伸ばしするとき、きしむ音がする

□ ひざを曲げたときに違和感やひっかかる感じがする

□ 座って足を伸ばそうとするとひざの裏側が床につかない(真っすぐ伸びない)

□ 座って足を伸ばすと伸び方に左右の差がある

□ ひざのお皿の横のくぼみがなくなる

コンドロイチン・グルコサミンって何?

コンドロイチン ひざの関節軟骨は3~5mmの厚さで、網目状のコラーゲン組織にプロテオグリカンという物質や軟骨細胞が絡みついてできています。

プロテオグリカンの合成の際、その材料となるのがコンドロイチンです。コンドロイチンは体内で生成されますが、加齢に伴って減少していきます。

コンドロイチンは、すり減った軟骨に水分を引き寄せて保水性、弾力性を与え、傷ついた軟骨を修復し再生させる効果があります。

また、グルコサミンは、関節部分の細胞の新陳代謝を活発にし、軟骨のクッションに当たる部分を修復する働きがあり、軟骨の摩擦を抑制し、傷ついた軟骨を修復し再生を促す効果があります。

歩行の際の膝の痛みやだるさも緩和し、スムーズに歩けるよう関節の動きをサポートします。

ひざをいたわる生活を送る

変形性膝関節症は生活習慣を見直すことによって悪化を防ぎ、痛みを和らげることができる病気です。

まず、ひざに大きな負担となる肥満を解消しましょう。

無理な食事制限をするのではなく、暴飲暴食や偏食を避け、栄養バランスのよい食事を心がけます。

筋肉や骨をつくるタンパク質やカルシウムは不足しないよう注意してください。

また、ひざを大きく曲げると負担がかかりますから、正座や和式トイレなどはなるべく避けましょう。

ひざが冷えると症状が悪化するので、クーラーの風などで冷やさないように。

ひざを温めて血行を促進するためには入浴や温シップなどが有効です。

また、ひざの痛みを和らげるポイントは次の通りですね!。

①アイシング
ビニール袋に氷と水を入れ、タオルなどでくるんで当て、ひざの内側まで冷やして炎症を抑えます。1回10~15分冷やし、5~10分休んでから数回繰り返しましょう。

②市販の湿布薬を利用
湿布薬には温感タイプと冷感タイプがあります。急性の痛みや炎症が起きている場合は、冷感タイプを使い患部を冷やします。症状が落ち着いてきたら、温感タイプを使用し患部の血行を促進するとよいでしょう。

つえを使う
ひざの負担を軽減します。痛みが和らいだ後は自然に杖を使わずに済むようになります。

④サポーターの着用
太ももの筋肉が弱くなってひざが安定しないときに有効です。軽い圧迫でひざにかかる負担を減らします。

まとめ

①変形性質関節症は、加齢などによってひざの関節軟骨がすり減ることによって起こります。

ひざをいたわる生活を送るとともに、コンドロイチンやグルコサミンなどを利用することで発症を予防したり、症状の悪化を防いだりすることができます。

③また、炎症が起きている場合は、冷感タイプの湿布薬を利用し患部を冷やし、症状が落ち着いたら温感タイプの湿布を利用し血行を促進するとよいでしょう。

ひざの痛みを年のせいだからとあきらめず、早い時期から治療を始めることが大切ですね!。



カラタを動かして元気な足腰をつくる

元気 加齢とともに衰える足腰を元気に保つためには、普段から積極的に身体を動かすことが大切です。

また、体力が落ちると「冷え」や「湿気」の影響を受けやすくなってしまうので、基本的な体力をつけるよう心がけましょう。

暮らしのポイント

入浴 ●栄養をしっかり摂って、邪気に負けない体力づくりを。

●毎日の散歩とストレッチを心がけ、足腰を強く。

●冷える場所、湿気の多い場所はなるべく避けて。

●毎日の入浴で、しっかり身体を温めて血行を改善。


ツボ(経穴)

ツボ 承山・陽陵泉・足三里

承山 陽陵泉 足三里

備 考

【デスクワーク中に10秒リセット】座りっぱなしでカチコチになった身体をほぐそう!簡単椅子ヨガ

座りっぱなしが身体に及ぼす影響とは?

デスクワークや長距離運転、座ったまま何かに集中して取り組んでいるとき、気が付くと数時間立ち上がっていなかったなんてことはありませんか?

立っているときよりも疲れない気がするし、座っている方が身体には優しいのではと思う人もいるかもしれませんが、意外と座りっぱなしでいることによる身体の影響はさまざまですね!。

・足の筋力の低下

・カロリー消費が減少し肥満を引き起こす

・下半身の血行不良による冷えやむくみ

・長時間座ることで腰痛や骨盤の歪みへ繋がる

・猫背や巻き肩など姿勢を悪くする

・上半身の可動も限られることで肩こりにも繋がりやすい

などのほか、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼしたり、心臓病や糖尿病、ガンなどの疾患に繋がることもあるのだとか。

座りっぱなしを予防するために

日常で座っている時間が長い人は、休日に運動するだけでは身体へのリスクは減らせません。

日頃から意識的に座っている時間を短くし、30分に1回程度立ち上がって歩いたり伸びをしたりすることで、座りっぱなしによるリスクを軽減できるといわれています。

10秒で疲労リセット!簡単椅子ヨガ

30分に1回伸びをしたりトイレに行ったりするのも有効ですが、そのうち何回かでもストレッチをしてみませんか?今回は椅子を使ってすぐに出来る簡単な椅子ヨガをご紹介します。

①胸を開く(肩こり改善)

1.椅子の後ろに立ち、背もたれを掴んで身体が床と平行になるところまで下がる

2.息を吐きながら胸を床に近づける(肘と膝は曲げてOK)

3.わきの下や胸のあたりに気持ちが良い伸びを感じながら10秒キープ

4.お腹の力も使ってゆっくり起き上がる

②むくみケア(ふくらはぎ)

1.椅子の後ろに立ち、背もたれを掴んで左足を大きく後ろに開く(身体は少し前傾させて両手を伸ばして椅子を掴む)

2.両足のかかとを床に付けた状態で前足のつま先を持ち上げてゆっくり下ろす

3.10回程行い、反対の足も同様におこないましょう

③むくみケア(腸腰筋)

1.椅子の後ろに膝立ちになり、両腕を伸ばした状態で背もたれを掴む

2.右足を前に立て、左の膝は膝一つ分下げてつま先をつく

3.息を吸いながらつま先で床を蹴るように後ろの膝を持ち上げる

4.息を吐きながら膝を床すれすれまで下ろす

5.後ろ足の付け根(腸腰筋)のあたりに伸びを感じながら5回程繰り返し、反対側も同様におこなう