概 要
熱のかぜは、発病したときから熱が高く、のどの腫れや痛み、黄色く粘りのある鼻水や痰、のどの渇きといった症状が現れます。
発熱が目立ち、炎症を伴うもの。
黄色粘稿疾、喉の痛みや腫れ、咳1欺、時に発汗、頭痛、鼻閉、濁った鼻汁。
【舌質】…赤。【舌苔】…薄黄。【脈】…浮数。
カゼの中でも初期から寒気はほとんどなく、熱性の症状が強いのが特徴で、特にこういう体質(証)のカゼを「風熱証」と呼びます。
証:風熱の説明へ
治 療
高熱が出て、ふとんをはぎたくなるくらい暑く感じるのは、火熱の邪の勢力が強い状態です。鼻やのどから病邪が侵入するので、のどが痛むことが多いのが特徴です。かぜのひきはじめには寒気がすることもありますが、期間は短く、すぐに熱っぽくなって、のどがかわきます。
汗をかいて病邪を発散させ、体の熱を冷ますことが大切。また、水分が不足しやすいので、こまめに水分を補いましょう。
1.体が熱っぽい、喉が赤く腫れて痛む、黄色く粘りのある撰や鼻汁が出る、口や鼻孔の乾燥、尿の色が濃い、舌が赤いなどの症状の場合
体の熱を冷ます銀翹散 »が処方されます。
次の症状がある場合は、銀翹散に次の処方を合方します。
2.鼻炎や鼻づまりがある場合
蒼耳散 »を合方します。
3.高熱、喘鳴、発汗、口渇のある方(咳がひどい)場合
麻杏甘石湯 »を合方します。
4.喉の痛みなどの上気道炎症がつよい場合
刑芥連翅湯 »を合方します。
5.顔がほてり、頭痛がある場合
清上防風湯 »を合方します。
6.激しい咳と粘梱な痰がある場合
清肺湯 »を合方します。
※体温が38℃を超えた場合は、イソプロピルアンチピリン配合のハル薬局感冒剤14号で、熱を下げましょう。
治療原則
辛涼解表・宣肺清熱
治則説明
風熱邪気は変化が速いので、できるだけ邪気が裏に入り込まない初期段階に治療することが大切ですよ!。
辛涼解表剤で風熱外邪を疏散して、肺の宣降機能を調節し、肺熱を取り除きましょうね!。
使用漢方薬
次の漢方薬が、風邪症候群・初期・赤いカゼ・熱感が強い(風熱)に対してよく効く可能性が高いです。
をクリック(タップ)→説明表示
処方名:銀翹散
疏散風熱・清熱解毒
風熱邪気の侵入を受けた外感風熱の初期に用いる代表処方ですよ!。
温病弁証では、衛分証を治療する主方ですね。
風熱邪気が裏に深く入るのを防ぐため、早い段階から清熱解毒作用のある金銀花と連麹を主薬として用います。
咽痛を緩和する桔梗・牛夢子・薄荷などが配合されているので、咽の腫れ・唇痛、例えば扁桃腺炎、あるいは口内炎を治療する効果が優れていますよ!。
本方剤は清熱剤の少ない日本では重宝される辛涼解表剤ですね!。
風熱感冒を治療すると同時に、流行性が見られるインフルエンザの初期、あるいは化熱しやすい人の感冒初期に適しています。
処方名:蒼耳散
処方名:麻杏甘石湯
辛涼宣泄・清肺平喘
外邪の侵入による表寒裏熱の治療に用いますよ!。
宣肺の麻黄と降肺の杏仁および清肺の石膏の組み合わせで、外邪を表あるいは肺から除去しながら、肺失宣降による咳嗽と喘息の初期に適応します。
辛涼剤の石膏が多く使用されており(麻黄の4倍)、発熱・痰黄・舌尖紅・苔黄の症状に適しますね!。
麻黄は温性ですが、優れた宣肺作用があり、喘息の治療には不可欠です。麻黄は宣肺開籔によって鼻籔を開くので、鼻塞・鼻水が黄色いなどの鼻症状を伴う風熱感冒に適しますよ!。
処方名:刑芥連翅湯
処方名:清上防風湯
処方名:清肺湯
処方名:小柴胡湯加桔梗石膏
清熱・散邪・利咽
本剤は「小柴胡湯」に、利咽の桔梗と清熱の石膏を加えた日本の経験方です。
「小柴胡湯」は少陽経の邪気を清する方剤でありますが、外邪の侵入に対しても効果がありますね!。
補気の人参は、正気不足のために反復して発熱・咽痛するものに適しています。
柴胡は辛涼解表薬に所属し、黄芩も熱を清する主薬であり、さらに清熱効果の優れた石膏が加わるので、感冒の高熱に対しては解熱効果が期待できますよ!。
桔梗は咽の専門薬ですね。
おもに咽腫・咽痛・扁桃腺炎・リンパ腺炎などの咽の症状をともなう風熱感冒を治療しますよ!。
【銀翹散の症例・治例】
次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。
〈咽頭部腫痛・発熱〉
患者:男性、32歳。
主訴:咽頭部腫痛・発熱、1日
現病歴:昨日、少し悪寒があり、全身に不快感を覚えたが、仕事が忙しかったので、そのまま勤務を続けた。今朝、起床後から咽・喉頭部が腫れて痛む。咳漱・発熱・軽い悪風と悪寒。全身の関節がだるく痛む。無汗・口渇・頭痛・鼻閉・食欲不振などの症状がみられる。小便はやや黄色、大便はほぼ正常である。
舌診:舌尖紅・苔薄微黄
脈診:浮数
体温:39.2℃
定位:表とする。発熱・微悪風寒・無汗・全身がだるい・脈浮などは外邪が衛表を犯したことが原因になって生じた臨床症状である。
定性:風熱とする。発熱・微悪風寒・口渇一因喉の腫痛・舌尖紅・苔薄黄・脈数などは風熱の症状である。
弁証:風熱表証(衛分証)
治法:辛涼解表
方意:銀翹散
現代医学の研究では、本方は解熱・発汗・抗菌・抗ウイルスなどの作用があると考えられている。
金銀花・連瓢・板藍根・蒲公英・貫衆……清熱解毒。抗細菌・抗ウイルス・消炎に効果を発揮する。
桔梗・甘草`芦根……咽喉に対する清理作用。
荊芥・薄荷・蒐活……発汗解熱・解表などの作用。
全体として辛涼解表、清熱解毒に効果が期待できる。
風熱表証(衛分証) »
・現代病名:咽頭部腫痛・発熱