漢方では「未病」ととらえます!
心血管障害の危険因子であるメタボ。
肥満に加えて糖代謝異常(少し血糖値が高め)、高血圧、脂質代謝異常(コレステロールや中性脂肪がやや高め)が重なった状態をメタボリックシンドロームといいます。 心筋梗塞や脳卒中など、心血管障害の危険因子となることがわかり、いまや「メタボ」で通じるほど認知度が高くなってきました。 診断基準の一つに"ウエスト径"が入ったことから、おなかの出っ張り具合を気にしている人も多いのではないでしょうか。 現代人の肥満のほとんどは食生活や運動などの生活習慣のゆがみが原因。ごく最近まで人類の歴史は飢餓との闘いでしたから、漢方医学には病的肥満やメタボリックシンドロームという概念はありません。
しかし漢方医学の立場で見た場合、心血管障害を発症する予兆であるという点において、メタボリックシンドロームは未病に位置すると考えます。 未病とは、簡単に言うと「病気になる一歩手前」の状態です。 漢方医学ではこの状態を改善して健康を維持することが大事と考えられています。 つまり、メタボリックシンドロームを漢方で治療する場合、肥満を解消して心血管障害を防ぐことが、その大きな目的となるのです。
では、漢方医学ではメタボリックシンドロームや病的肥満をどう治療するのでしょうか。 まず大事なのは生活改善です。 メタボリックシンドロームは生活習慣病の代表です。ライフスタイルが病気の原因というのは、そもそも漢方医学的な考え方なのです。人間は本来、体を動かすために食べていました。ところがデスクワークなどが増え、体を動かす機会が減った結果出てきたのが生活習慣病です。ですから、まずは高脂肪、高たんぱく、高カロリーといった日本人に合わない食事を避け、運動量を上げるという生活改善から始めることが大切です。 それにプラスして、ゆがんでしまった体内のバランスを漢方薬で正常化することが治療方針となります。
処方するうえでのキーワードとなるのが、「食毒」や「水毒」などのさまざまな毒です。食毒は食事のバランスにゆがみが生じている状況で、水毒は"腎(内分泌系や泌尿器系)"の働きがうまくいかないために生じる腎性の中毒物です。 漢方では、脂質異常症の原因となるコレステロールや糖尿病を引き起こす高血糖なども、こうした毒の一種とみなします。 漢方医学ではこうした毒の蓄積から肥満が生じ、中高年以降の慢性的な病気の原因につながると考えられています。 メタボリックシンドロームは基本的に食毒、水毒が中心の病態ですから、治療も原則的に、食毒を改善するための解毒作用がある漢方薬や、水毒を改善するための利水作用がある漢方薬を使用するのです。
●食事(特に夕食)の量を腹八分目に
●間食はしない
●味付けは薄めに
●料理に砂糖をあまり使わない
●緑黄色野乗を毎日食べる
●生クリームやバターは控えめに
●運動習慣を身につける(毎日30分以上、少し汗をかくように歩こう)
●お酒は1日2合以下、週に2日間は休肝日を設けよう
●タバコはやめる
●ストレスを上手に発散する
メタボリックシンドローム-メタボ原因-対応の方は、次の食材を積極的にお召し上がりください。
つい食べ過ぎて体重が増えやすいです。運動不足が重なると肥満領域の体重に突入しますよ!。
BMI(体格指数=体重kg÷身長mの2乗)で「25」以上は肥満とされ、身長170センチの人なら体重73キロ以上に相当します。
太っていて身体ががっちりしていれば、痩せている人よりも体力がありそうなメージを持つ人もいるでしょう。
しかし、肥満の人もフレイル(高齢者虚弱)(心身の虚弱)に陥りやすく、健康寿命を縮め、要介護リスクを上げてしまいます。
痩せている人は体力が低下しやすいのですが、太っている人も、腰痛や膝痛などで身体活動能力が低下するとフレイル(高齢者虚弱)に陥りやすいのですよ!。
肥満や糖尿病などを合併したメタボリックシンドロームの方は減量のために運動習慣と食事制限が欠かせません。
ところが、フレイル(高齢者虚弱)予防では体重を維持してタンパク質などを含め、食事をしっかりとることが求められます。
つまり、予防が相反しているのですね!。
肥満やメタボは痩せなければいけないのですが、フレイル(高齢者虚弱)は体重が減ってやせてしまうと悪化しますよ!。
フレイル(高齢者虚弱)予防のために食べ続けて運動不足のままでは、当然のことながら、肥満やメタボは解消しにくいです。
肥満&メタボとフレイル(高齢者虚弱)を同時に予防するのはとても難しいのですよ!。
肥満やメタボはフレイル(高齢者虚弱)リスクがあることを意識して、中年期の早い段階で改善・予防に努めましょう。
65歳未満と65~74歳のプレ高齢者の一部が肥満やメタボ対策をしっかり行う。
75歳以上はフレイル(高齢者虚弱)対策に切り替えることが重要です。
そもそもメタボは、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を発症するリスクが、そうでない人と比べて約3倍といわれます。
フレイル(高齢者虚弱)は要介護のリスクを上げますが、脳卒中も認知症に次いで要介護の原因の第2位に位置します。
また、中年期の肥満が認知症のリスクを上げるとも報告されています。
つまり、メタボを改善するとフレイル(高齢者虚弱)、認知症、心血管疾患の3つの要介護リスクを下げることにつながるのですね!。
現在、2型糖尿病の治療薬は、食欲を抑えながら体重も落とすことができるものがあり、血糖値コントロールに取り組みやすくなっています。
メタボも解消しやすい。健康診断で異常値を指摘された場合は、放置せずに適切な治療を受けていただきたいと思います。
肥満やメタボを改善して75歳の壁を乗り越えしょうね!。
健康長寿を伸ばしたならば、さらに高齢期の健康維持のためにフレイル(高齢者虚弱)予防に励む。それが、生涯続く健康寿命に寄与しますよ!。
2型糖尿病の治療で75歳の壁を乗り越え、現在、90歳以上で元気に過ごされている患者さんはたくさんいます。
元気に長生きを実現するため、メタボは放置しないようにしましょうね!。