エネルギー不足
概 要
食欲や体力が落ちたなと感じたら気を付けて
脾胃は「気血」を生む源です。脾気が身体に栄養を運び、その栄養から血が生まれます。そのため、脾胃が弱くなると全身の気血が不足し、五臓六腑はもちろん、脳の機能も低下してしまうのです。胃が弱い人、慢性疾患や老化などで体力が落ちている人などは、このタイプの認知症に注意が必要です。脾を強くする「健脾」、気や血を養う「益気」「補血」、脳を健やかにする「健脳」をポイントに日頃の養生を心がけましょう。
治 療
@高齢化社会の到来をひかえ、脳循環代謝改善薬に期待が集まっていますが、その効果はいまだ満足のいくものではないし、副作用も無視できません。
一方、漢方薬で本症に有効なものが挙げられており、特に黄連解毒湯、釣藤散、当帰芍薬散などの効果について、詳細に報告されています。
一般的には漢方薬を使用することで精神的に落ち着き、食欲が出て精神的にも肉体的にも活気が出ることが多いです。
A本病には全身状態の低下している方が多く、このような方に漢方薬を投与すると、体力増強をはかることができます。
●治療原則:健脾和胃
使用漢方薬
次の漢方薬が、認知症・脾気虚・に対してよく効く可能性が高いです。
処方名:帰脾湯
動悸、眠りが浅い、夢が多いなどを伴う方。
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処方名:加味帰脾湯
動悸、眠りが浅い、夢が多いなどを伴うにのぼせ感やイライラ感が加わる方。
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処方名:補中益気湯
立ちくらみ、胃下垂、脱肛などを伴う方。
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舌 質
淡。胖大
舌 苔
薄白苔
脈 診
細弱
食 養
甘みのあるもの補う効果のあるものを中心に食材選びをしましょう。
●栗
●米
●麦
●ライチ
●ぶどう
●いんげん豆
●にんじん
●りんご
●豆腐
●湯葉
●大豆製品
備 考
老後は「本物の人生」。毎日を楽しく穏やかに
認知症をはじめとするさまざまな老化現象は、年齢を重ねることでどんな人にも現れるもの。もちろん老化を止めることはできませんが、健康を保つ工夫をしたり、余裕ができた時間を楽しく過ごしたりと、自分次第で老いと上手に付き合りことはできるものです。認知症を予防するためにも、毎日をイキイキと前向きに暮らすことはとても大切なこと。例えば、趣味や会話の時間を増やす、1日1回は笑う、といった良い刺激を与えることは認知症の予防につながります。花や緑を楽しんだり、温泉でゆっくりしたり、そんな自然との触れ合いもいいですね。
また、左右の手を交互に使って歯みがきをしたり、両手で肩をもんだりすると、脳を鍛えることができます。食事はうす味、加熱を心がけて、ゆっくりと気持ちよく食べましよう。
老化への焦燥感、不安感などでストレスを溜めることは禁物。江戸時代には、仕事をする必要がなく、自分の好きなことを存分に楽しめる老後こそ「本物の人生」と考えられていたそうです。より長生きになったわたしたちも、そんな風に楽しく元気な老後を過ごしたいものですね。