ストレスが多い
概 要
イライラやストレスは、認知症の悪化に
肝は新陳代謝をコントロールする大切な臓器。この機能がうまく働いていると、全身にきれいな清気(酸素)がいきわたり脳の働きも活発になります。肝鬱タイプの認知症は、ストレスで肝の機能が減退し、気の流れが滞ることが原因に。また、気滞の状態が長く続くと「癖血」につながることもあります。 老化への不安がストレスになるケースも多く見られますが、老化はだれにでも訪れるものです。あまり神経質にならず、上手に付き合っていきましょう。
主症状
情緒の不安定、憂欝、イライラ、胸脇張満、不眠、悪夢、集中力の低下
治 療
@高齢化社会の到来をひかえ、脳循環代謝改善薬に期待が集まっていますが、その効果はいまだ満足のいくものではないし、副作用も無視できません。
一方、漢方薬で本症に有効なものが挙げられており、特に黄連解毒湯、釣藤散、当帰芍薬散などの効果について、詳細に報告されています。
一般的には漢方薬を使用することで精神的に落ち着き、食欲が出て精神的にも肉体的にも活気が出ることが多いです。
A本病には全身状態の低下している方が多く、このような方に漢方薬を投与すると、体力増強をはかることができます。
●治療原則:疏肝理気
使用漢方薬
次の漢方薬が、認知症・肝気鬱結・に対してよく効く可能性が高いです。
処方名:柴胡加竜骨牡蛎湯
胸脇苦満や心下部のつかえ感があり、動悸、めまい、不眠などがある方。
|
処方名:加味逍遙散
疲れやすく、訴えの多い方。
|
処方名:大柴胡湯
体力があり、便秘、腹満、季肋部圧痛などのある方。
|
処方名:抑肝散
眩暈・痙攣・頭痛・頭のふらつき・手足の動きのある方。
|
舌 質
紅
舌 苔
薄
脈 診
弦
食 養
香りの良いものなどでストレスを発散し、気の流れをスムースにしましょう。
●しそ
●ハマナス、菊花などのお茶
●びわ
●はと麦
●どくだみ
●冬瓜
●トマト
●きゅうり
●みかん
●緑豆
備 考
老後は「本物の人生」。毎日を楽しく穏やかに
認知症をはじめとするさまざまな老化現象は、年齢を重ねることでどんな人にも現れるもの。もちろん老化を止めることはできませんが、健康を保つ工夫をしたり、余裕ができた時間を楽しく過ごしたりと、自分次第で老いと上手に付き合りことはできるものです。認知症を予防するためにも、毎日をイキイキと前向きに暮らすことはとても大切なこと。例えば、趣味や会話の時間を増やす、1日1回は笑う、といった良い刺激を与えることは認知症の予防につながります。花や緑を楽しんだり、温泉でゆっくりしたり、そんな自然との触れ合いもいいですね。
また、左右の手を交互に使って歯みがきをしたり、両手で肩をもんだりすると、脳を鍛えることができます。食事はうす味、加熱を心がけて、ゆっくりと気持ちよく食べましよう。
老化への焦燥感、不安感などでストレスを溜めることは禁物。江戸時代には、仕事をする必要がなく、自分の好きなことを存分に楽しめる老後こそ「本物の人生」と考えられていたそうです。より長生きになったわたしたちも、そんな風に楽しく元気な老後を過ごしたいものですね。