病邪による身体衰弱!
概 要
太陰病
傷寒の病が三陰病の時期に入ると正気は虚し病邪の方が優勢になるので虚寒の症状が現れます。三陰病では病は臓に在り、裏証ですよ!。
太陰病は三陰病の最初の段階で病態は主に脾(消化器系)の機能低下と寒証です。身体が冷え腹満して時に痛み、消化吸収の機能が低下して下痢、嘔吐、食欲不振があります。口渇はなく脉は沈で弱いです。太陰病は虚寒証に属するので治法は温補で、絶対に攻下してはならない。基本処方は、脾を温め陽気を回復させてやるには人参湯を用い、太陰病の下痢腹痛に対しては桂枝加芍薬湯を用いますよ!。
太陰湯は脾に病変があります。したがって胃に病変がある陽明病とは表裏の関係にあります。しかし陽明病は実熱証、太陰病は虚寒証であるから病像は全く正反対で、従って治法も陽明病(脇証)の攻下に対し太陰病は温補と全く異なります。
少陰病
少陰病は病邪が心と腎に及ぶ時期です。腎は人の生命力の基本である熱を生産する腎腸(真陽)と、水分代謝を支配する腎陰(真陰)とから成り全身の、陰陽の根本ですね。心と腎は協力して全身の陰陽の平衡を維持しているので、少陰病では全身の陰陽が失調します。したがって少陰病には真陽が虚して陽虚寒盛の症候を呈する場合と、真陰が虚して陰虚火旺の症候を現す場合と二通りの臨床像が見られますよ!。
陽虚の場合、一般に少陰病の症候とされています「少陰ノ病タル、脉微細ニシテ、但ダ寐ント欲ス」という症状を呈します。即ち虚寒証で新陳代謝は衰微し、体温は低下して発熱はなく、悪寒、嗜眠、四肢厥冷、昧微弱で時に水様下痢が見られます。治法は回陽救逆で主要処方は四逆湯、真武湯ですね!。
一方陰虚の場合は少陰病の変証とされている虚熱の証候を呈し心煩、不眠、咽乾口燥などがあり、脉は沈細で数となります。治法は滋陰清虚熱で、主要処方は黄連阿膠湯や猪苓湯などですよ!。
また老人や体質虚弱者、大病後の病人など陽気が不足している状態の人が傷寒に罹患すると病邪は体表部を容易に貫通して直接太陽経と表裏をなす少陰に達し、陰陽両感の病証が現われます。これを表裏両感証あるいは少陰の直中と呼んでいます。治法は温経散寒で陽気を補いながら表裏を共に温めて寒邪を追い払います。基本処方は麻黄附子細辛湯ですね!。
厥陰病
厥陰病は病変が厥陰経の肝と心包にまで及ぶ傷寒六経の最期の段階であり、三陰病の最後です。厥陰病では陰が尽きて陽が回復しようとする兆が現われる時期でもあるので、寒熱が錯雑して上熱下寒し「消褐、気上リテ心ヲ憧キ、心中痔熱シ飢エテ食ヲ欲セズ」という症状が現われます、この場合治法は温寒併用ですよ!。
厥陰病は陰の極致で「罷極ノ本」である肝の陽気が完全に衰微しているので脉は微細で小便自利となります。陽虚のため陽気(熱)が四肢に到着できなくなる結果、手足厥冷し、また寒冷が内に生ずる時は小腹拘急し、下痢腹痛を起こします。治法は回陽救逆で基本処方は四逆湯類(当帰四逆加呉茱萸生姜湯など)ですね!。ここで陽気が回復しないと心包でも陰盛亡陽となり煩躁して安眠できず神気(精神)錯乱して時に死に至ります。一方陰尽陽回の結果、陽熱が回復し過ぎて肝内に齢し、熱証を呈する場合もありますね!。
以上より厥陰病には寒証、熱証及び陰盛亡陽の死証3通りの証があります。その症候は一定せず、従って治法も臨機応変の処置が必要ですよ!。
証:三陰病(太陰病・少陰病・厥陰病)の説明へ
主症状
太陰病
・発熱、腹部膨満、嘔吐下痢など
※陽明病を思わせ症状も、陽明病は実熱で、太陰病は虚寒が根底にある。
少陰病
・意欲減退、四肢腹部の冷え、眠りたがる
(しかし熟睡出来ない)
厥陰病
・四肢が冷える(逆に熱が高い時もある)、口渇、精神錯乱
※かなり重い病状です。身体・生命力の衰えから来る寒証だけでなく、消耗ゆえに現れる熱様症状もあり、様々な不快症状が現れます。
使用漢方薬
次の漢方薬が、傷寒と温病・傷寒・三陰病(太陰病・少陰病・厥陰病)に対してよく効く可能性が高いです。
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処方名:人参湯
太陰病
処方名:四逆湯
太陰病
処方名:半夏瀉心湯
太陰病
処方名:麻黄附子細辛湯
少陰病
処方名:猪苓湯
少陰病
処方名:当帰四逆加呉茱萸生姜湯
厥陰病
処方名:呉茱萸湯
厥陰病