中医学には、独自の診断法がありますが、そのなかにのひとつに「舌診」があります。舌は、臓腑経絡、気血津液、邪正状況を反映する客観的な診断指標です。
灰苔・黒苔は裏証の重症にみられるものであり、灰苔は薄い黒色であり、濃くなると黒苔になります。
灰苔は黒苔より病状が軽く、黒苔は灰苔より病状が重いものを示します。
灰苔と黒苔はもともと黄苔または白苔から変化してきたものであるため、灰苔や黒苔がみられれば、さらに舌色・舌形および苔の状態によって寒熱を見分ける必要があります。
裏熱証 ・寒湿証 ・裏証 ・熱極 ・寒盛
次の例番号をクリックしてください。
苔色は、浅黒の灰苔です。
苔色は、灰苔です。
苔色は、黒苔です。
苔色は、深灰の黒苔です。
① 舌苔が灰色に変化してきた
病気が根を下ろし、悪化しています。
白い、あるいは黄色い舌苔が灰色に変化してきたら、病気がからだの中に根を下ろし、病状が重くなってきていることをあらわしています。さらに悪化すると舌苔は黒くなっていきます。心配な病気は、体内に湿気が停滞しているのか、または乾燥しているのか、熱の勢いが強いのか、逆に冷えているのかにより、違ってきます。いずれにしろ、ひどくなる前に手を打ちましょう。
湿気が停滞している場合、舌苔は厚く、ネバッとしています。脂質異常症、肝機能障害、狭心症や心筋梗塞が心配です。子宮筋腫や不妊症、アトピー性皮膚炎とも関係があります。うつ症状があらわれることもあります。逆に、舌苔が乾燥しているなら、体内の水分が不足しています。気管支炎、インフルエンザ、ぜんそく、鼻炎、肺炎、さらに胃炎、胃潰瘍、食道炎、膀胱炎なども気になります。糖尿病や脂質異常症の長期化にも要注意です。
熱の勢いが強い場合、舌苔は黄色がかった灰色で、舌自体は赤いでしょう。胃炎、潰瘍、肝炎、胆のう炎などが心配です。化膿性疾患や自律神経失調症も気になります。逆に、からだが冷えている場合、舌自体は白っぽくなります。腰痛、座骨神経痛、肋間神経痛に注意してください。鼻炎や花粉症、ぜんそくの悪化も心配です。不妊症、生理痛、生理不順も考えられます。痛風の発作にも関係してきます。
② 舌苔が黒く、薄くついている
病状が重いか、慢性化し、からだが冷えています。
黒い舌苔は、病状が重い、あるいは慢性化していることを示しています。とくに、黒い舌苔が舌の表面に薄くついていて、舌自体の色が赤くない場合は、冷えが長期にわたってからだを支配しており、そのせいでさまざまな機能低下が起きている可能性があります。
冷えが浸透しているため、腹痛、吐き気、下痢などの胃腸障害が心配です。胃炎や胃・十二指腸潰瘍に気をつけてください。腰痛、座骨神経痛、肋間神経痛にも注意してください。さらに、鼻炎、花粉症、ぜんそくも気になります。もし、患部、あるいはからだ全体を温めると楽になるようなら、冷え症を根本的に改善したほうがいいでしょう。
また、舌自体が湿っぽいようなら、全身の機能低下が心配です。疲れやすい、かぜをひきやすい、だらだらと汗をかく、抜け毛や白髪が増えたなどの症状はありませんか。心配な病気は多種にわたりますが、ひとつには血液循環の悪化による脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞があげられます。頭が重く痛い、息切れがしやすい、胸がソワソワするといった症状がある人は気をつけてください。肝炎、腎炎、ぜんそく、鼻炎、貧血、痛風などの慢性化や、がんも心配です。不妊症や、生理不順、甲状腺機能低下症、更年期障害、骨粗嶺症などとも関係があります。
③ 舌苔が黒く、乾燥している
病状が重いか、慢性化し、からだに熱がこもっています。
黒い舌苔は、病気が重い、あるいは慢性化していることを示しています。さらに、黒い舌苔が乾燥している場合は、慢性疾患、炎症、感染症の影響で、体内に熱がこもり続けています。熱の影響で体液が消耗し、からだの水分が少なくなっていると考えられます。舌自体は赤い色、あるいは深紅色をしており、舌先などに赤い斑点や点状の隆起ができることもあります。なお、化学薬品を長期服用した場合にも、このような舌苔がみられます。
心配な病気は、強い熱の勢いから考えると、胃炎、肝炎、腸炎、腎炎などの炎症です。アトピー性皮膚炎なら、かゆみがひどく、赤くただれやすいでしょう。脳梗塞や脳出血の可能性も高まりますので気をつけましょう。ストレスも関係しています。
もし、黒い舌苔が薄くついているなら、体液の消耗をあらわしています。粘膜が弱くなっていますので、気管支炎、インフルエンザ、ぜんそく、肺炎などが心配です。胃潰瘍や食道炎にも注意してください。
さらに、舌自体が薄くやせて黒い舌苔がある場合は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、甲状腺機能冗進症、痛風、肝炎、腎炎などの慢性疾患が気になります。乾燥肌のアトピー性皮膚炎の人にもこのような舌がみられます。更年期障害や、がんも心配です。
④ 舌苔が黒くて厚く、粘ついている。
病気が慢性化し、熱と湿気がこもっています。
この舌苔は、からだの中に熱と湿気がこもった状態が長期化、または悪化した人にみられます。熱は、病気が慢性化している、あるいは炎症や感染症にかかっている場合に勢力を増し、からだにたまります。さらに、余分な湿気と結びつくと、内臓への負担が大きくなります。化学薬品を長期にわたり服用したときにも、このような舌苔があらわれることがあります。
熱の勢いが盛んなので、糖尿病なら口が渇きやすくなるでしょう。鼻炎、花粉症、ぜんそくなら、黄色くて粘り気の強い疾や鼻水が出ることがあります。痛風の発作とも関係があります。婦人科系では、生理痛、生理不順、月経前症候群の人に見られます。経血の色が黒っぽくありませんか。さらに、ストレスも関係しています。
また、湿気の停滞は、消化器系では膨満感、胃の不快感、胃でポチャポチャと音がするなどの症状にあらわれ、胃炎や胃潰瘍に要注意です。頭部に圧迫感があるなら、高血圧や脳梗塞が心配です。腎臓障害にも注意が必要です。胸苦しいなら、気管支炎、気管支拡張症、肺炎の可能性があります。ジクジクするアトピー性皮膚炎とも関係の深い舌です。精神面に与える影響もあり、うつ病、統合失調症の原因にもなります。湿気が停滞してかたまりを形成し、筋腫、ポリープ、甲状腺腫、がんにつながる可能性もあります。
Tongue qualities were scientific measures because they were objective(客観).
I can feel it,you can feel it,so it's not subjective(主観).
灰苔や黒苔は乾燥無津であり、部分的 な剥苔・紅緯舌・裂紋を伴うと熱極津枯*1 を示します。
治療原則は清熱生津・滋陰降火です。
清熱生津は、●白虎加人参湯などです。
滋陰降火は、●滋陰降火湯などです。
灰賦苔や黒賦苔とともに部分的な黄臓苔・紅舌少津を伴うと湿熱や痰熱を示します。湿熱や痰熱は久齢不化*3 によるものです。
治療原則は清熱解毒・利湿化痰です。
清熱解毒は、●黄連解毒湯、●銀翹散などです。
灰臓苔か黒風苔は湿潤であり、部分的な白賦苔・淡暗舌・脾臓を伴うと陽虚寒湿・痰飲内停を示します。これは陽虚寒盛によって水湿を温運できず、水湿疾飲が長く停留するためです。
治療原則は温陽散寒・温化水湿です。
●四逆湯
●麻黄附子細辛湯
●越婢加朮湯
●防已黄耆湯
灰苔と黒苔は高熱・脱水・化膿性疾患・発熱性疾患・慢性炎症などの重篤なもの、あるいは抗生物質の長期使用後によくみられます。
*1 熱極津枯:熱邪が元盛になって、津液を大いに損傷して枯れる状態。
*2 疲熱内袖:疾と熱邪が合わさって、体内にこもっている状態。
*3 久轡不化:長期間停留して取れないこと。
灰苔・黒苔の場合に使用される漢方方剤は、次のとおりです。
朝一番に舌をチェックし、色・形・苔を評価しましょう。 ひび割れ(裂紋)や斑点があるか否かを確かめましょう。
舌の臓腑区分
病気が全身に波及している場合は、舌の全体に変化がみられます。
局部に限定している段階では、特定の臓腑区域に変化が見られます。
Tongue examination is one of unique exam method in Traditional Chinese Medicine(TCM).
It is a necessary component in clinical diagnosis.
Those famous doctor who lived in ancient society or live in modern society, are good at tongue-exam.
●料理が薬(くすり)になる膳=薬膳
●薬膳=食べる方の体質に合っている食事料理
●薬膳は中華料理とは限りません。日本の日常の食材で作れます。
味の濃いもの、カロリーが高いものは控えましょう。
体の熱を取るセロリ、なす(茄子)、きゅうり(胡瓜)、とうがん(冬瓜)などの野菜を食べましょう。
食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけましょう。
ストレス発散は運動で汗を流すのがおすすめです。
ストレスや飲酒、脂肪分の多い食事などで体に熱がこもり、不調になっている体質です。ストレスにより肝がダメージを受け、この状態が続くと、脾や胃も弱くなり、心にも影響を及ぼすように。放置すると胃腸炎などの消化器系の病気や、脳卒中、心筋梗塞など循環器系の病気に陥るおそれがあります。
まずは、飲酒を控え、脂肪分の多い食事をやめましょう。涼性、寒性の野菜をたくさん食べて、体の余分な熱を取り除いたり、気の巡りをよくする食材をとるなど、食生活から見直してください。
身体の熱を取るセロリ、なす、きゅうり、冬瓜(とうがん)などの野菜を食べましょう。食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけましょう。ストレスの発散は運動で汗を流しましょう。
●気になる不調を自分で手軽にケアする方法として、おすすめなのが『ツボ』(経穴)です。
数千年の歴史を持つ中医学(東洋医学)の治療法です。
WHO(世界保健機関)の主導でツボの名称統一を行うなど、最近は世界的にも関心が高まっている治療法です。
「お茶で一服する」「トイレに立つ」といったタイミングでツボを押すことを、ぜひ習慣化しましよう。その場で不調を解消できるだけでなく、病気への抵抗力や免疫力を日々、高めていくことが可能です。
上半身の熱や余分なものの溜まりを取る作用があります。
ストレスや飲酒、脂肪分の多い食事などで身体に熱がこもり、不調になっている体質です。ストレスにより肝がダメージを受け、この状態が続くと、脾や胃も弱くなり、心にも影響を及ぼすように。放置すると胃腸炎などの消化器系の病気や、脳卒中、心筋梗塞など循環器系の病気に陥るおそれがあります。
まずは、飲酒を控え、脂肪分の多い食事をやめましょう。涼性、寒性の野菜をたくさん食べて、体の余分な熱を取り除いたり、気の巡りをよくする食材をとるなど、食生活から見直してください。
●世界の伝統医学の中でも、最も理論体系が整い、豊富な治療手段を備え、長い経験の蓄積があり、実用性の高いのが中医学(東洋医学)です。
この医学は病気の治療ばかりでなく、養生思想も内容が豊かで、病気の予防や健康増進にも活用できます。
その大きな特徴は、一人一人に合わせたやさしい眼差しで、各個人の体質を見極め、体質や体調に合った養生や生活改善を提案することです。
熱いお風呂に入ると、のぼせたり、肌が赤くなってかゆみが起こることが多いため、お風呂の温度は低めに設定するのがポイント。
上半身はほてっているのに、下半身は冷える「冷えのぼせ」がある人は、腰から下はゆっくりとお湯につかり、上がるときには、上半身だけ30~35℃くらいのぬるいシャワーを浴びましょう。足湯もよいです。下半身を温めることで、体の上部にこもった熱が下がり、気が全身にめぐります。
また、お風呂上がりにはぬるめのお茶で水分補給をして余分なほてりをクールダウンさせましょう。
ストレスや飲酒、脂肪分の多い食事などで体に熱がこもり、不調になっている体質です。ストレスにより肝がダメージを受け、この状態が続くと、脾や胃も弱くなり、心にも影響を及ぼすように。放置すると胃腸炎などの消化器系の病気や、脳卒中、心筋梗塞など循環器系の病気に陥るおそれがあります。
まずは、飲酒を控え、脂肪分の多い食事をやめましょう。涼性、寒性の野菜をたくさん食べて、体の余分な熱を取り除いたり、気の巡りをよくする食材をとるなど、食生活から見直してください。
陰虚タイプのほてりと違い、内熱タイプは、熱を発散させるためにもジョギングやテニスなどの運動もOKです。たまに一日がんばるのではなく、毎日の習慣にしましょう。
ただ熱が上にのぼるので興奮しやすく、本当は疲れていても気持ちでは疲れていない、体力が合って元気だと思いがち。あまりがんばりすぎないよう、意識してブレーキをかけたほうがよいでしょう。