舌診舌診解説:白苔(White Coating)
寒証も熱証もありますよ!

中医学には、独自の診断法がありますが、そのなかにのひとつに「舌診」があります。舌は、臓腑経絡、気血津液、邪正状況を反映する客観的な診断指標です。

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白苔は、さらに薄白苔・白厚苔・白膩苔・白滑苔などに分類されます。


  証(illness syndrome)

正常 ・表証 ・寒証


  白苔の事例画像

次の例番号をクリックしてください。

  事例画像その1


舌色=紅舌に近い淡紅舌、苔色=白苔、苔状=厚苔、舌形=正常。
偏紅舌により内熱あるいは血熱があるが、白苔・厚苔により痰湿飲がある。総合して痰湿熱の可能性が強い。
清熱利湿化痰。
温清飲、菌陳五苓散、竜胆瀉肝湯(一貫堂)

  事例画像その2


Null

  事例画像その3


白厚苔です。
痰湿証・食積証です。

  事例画像その4


舌色=淡白舌、苔色=白苔、苔状=厚苔、舌形=やや肥大舌。
淡白舌・やや肥大舌は気虚、白厚苔は痰飲を意味します。
陽気不足が温運を失調させて招いた痰飲内停。
治則=通陽散寒化飲。
人参湯、茯苓飲


  詳 細

白い舌苔が舌の表面に薄くついている場合は、とくに病気ではなく、健康な状態だといえます。舌自体の色が淡紅色で、やせすぎず大きすぎず、適度な湿り気があって生き生きとしていれば、正常で理想的な状態です。

ただし、かぜのひき始めなど病気になってすぐのときは、舌苔にまだ変化があらわれないため、薄く白い舌苔のままです。まだまだ病気は軽い段階といえますが、これが若干進行ずると舌は湿っぽくなり、全体に色が薄くなって白っぽくなります。寒気、関節の痛み、頭痛、くしゃみ、水っぽい鼻水があらわれていませんか。

逆に、舌がやや乾き気味で、舌自体がいくらか赤い色をしているようなら、熱が出て、のどが痛くなるタイプのかぜかもしれません。インフルエンザ、急性気管支炎などの可能性もあります。咳や黄色い鼻水が続いたら要注意です。


  弁証論治(syndrome differentiation and therapy determination)

Tongue qualities were scientific measures because they were objective(客観).
I can feel it,you can feel it,so it's not subjective(主観).

①健康なもの・表証

薄白苔が現れます。薄白苔は健康な者に現れるものですが、また表証に現れることもあります。邪気が体表に侵入したばかりで、舌苔の変化としてまだ現れていないからです。

表証にはさらに舌色や津液の状態によって、風寒表証*1 と風熱表証*2 に分類されます。薄白苔ともに淡紅舌でやや湿潤しているものは風寒表証を示します。

治療原則は辛温解表*3 です。
●麻黄湯
荊防敗毒散
●川芎茶調散


薄白苔とともに舌尖紅でやや乾燥しているものは風熱表証を示します。

治療原則は辛涼疏風*4 です。
●銀翹散


②裏寒証

白苔または白厚苔が現れます。白苔は寒証を主る。寒邪が裏に侵入して胃気や湿濁を挾んで舌に持ち上がると、白苔は厚くなります。

③寒湿証・食積湿濁内停

白(厚)賦苔や白滑苔が現れます。寒邪が湿邪や食積朽を挟んで舌へ持ち上がると白鳳苔・白滑苔になります。白月武苔・白滑苔とともに淡白月瞬噛痕舌が現れるのは脾腎陽虚・水湿内停によるものです。

治療原則は温陽化湿*6 です。
●真武湯
●牛車腎気丸

白厚臓苔・白滑苔とともに老舌・青舌が現れるのは寒湿*7 ・寒積*8 によるものです。

治療原則は散寒利湿*9 です。
●四逆湯●柴苓湯(小柴胡湯+五苓散)
●八味地黄丸を合わせます。

「白苔は表を主る、黄苔は裏を主る」「白苔は寒証を主る、黄苔は熱証を主る」といわれるように、一般的に白苔は主に表証・寒証を主り、黄苔は主に裏証・熱証を主ります。

これは病気の「常」であります。ところが病気が複雑になると熱証でも白苔が現れることもあります。これは病気の「変」である。そのような場合には、白苔に舌質の色や状態などを合わせて判断します。

例えば、紅緯舌と白臓苔は臨床ではよくみられる舌象であり、外感熱病にそれらがみられれば、営分に熱邪があり気分に湿邪があることを示し、内傷雑病にそれらがみられれば、陰虚火旺と疾濁珊食積を兼ねることを示します。

また、おしろいが厚く積もって乾燥したように見える白苔を「積粉苔」と呼び、紅縫舌とともに現れる場合は、湿過熱伏*11 の温疫*12、または内麗*13 を示します。

その他、白燥苔は白苔が乾燥して津液がないものであり、白横裂苔は顯粒が粗大・乾燥して裂苔も伴うものであり、白砂苔は顯粒が砂利のように粗大でしかも乾燥するものであり、すべて温熱病の燥熱傷津を示します。

温熱や燥熱の邪気が強すぎ、すみやかに裏に侵入して苔がまた黄色くならないうちに津液を厳重に消耗されたためです。

治療は迅速に清熱・救津を行うべきです。

白苔は主に病気やカゼの初期・寒冷性疾患・冷え症・胃腸障害・病気の回復期などによくみられるものです。

*1 風寒表証:風邪と寒邪によって、悪寒が強く発熱が軽いなどの症状を起こす状態。
*2 風熱表証:風邪と熱邪によって、発熱が強く悪寒が軽いなどの症状を起こす状態。
*3 辛温解表:辛温の薬を用いて発汗して表証を治療すること。
*4 辛涼疏風:辛涼の薬を用いて風邪を追い払うこと。
*5 食積:脾胃の運化の失調により食べものが消化吸収できず留まっている状態。
*6 温陽化湿:陽気を温めて、水湿を取り除くこと。
*7 寒湿:寒邪と湿邪が合わさったもの。
*8 寒積:寒邪と食積が合わさったもの。
*9 散寒利湿:温めることによって、寒邪を追い払って、湿邪を取り除くこと。
*10 痰濁:水分の代謝失調によって水が留まっているために生じた病理産物。粘欄なものを「痰」、清稀なものを「飲」という。痰濁は粘梱し、さらに汚れるものを指す。
*11 湿過熱伏:湿邪が阻遇することによって、熱邪が中にこもって外へ到達できない状態。
*12 温疫:重篤な急性伝染病のこと。
*13 内鬱:体内の化膿性疾患のこと。


  対応方剤(formula of drug prescriptions)

青龍 白苔の場合に使用される漢方方剤は、次のとおりです。

区切り

朝一番に舌をチェックし、色・形・苔を評価しましょう。 ひび割れ(裂紋)や斑点があるか否かを確かめましょう。

舌の臓腑区分

臓腑区分

病気が全身に波及している場合は、舌の全体に変化がみられます。
局部に限定している段階では、特定の臓腑区域に変化が見られます。

舌の各部
舌診の事例1
舌診の事例2

Tongue examination is one of unique exam method in Traditional Chinese Medicine(TCM).
It is a necessary component in clinical diagnosis.
葉天士Those famous doctor who lived in ancient society or live in modern society, are good at tongue-exam.

朱雀

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