当帰芍薬散＋桂枝茯苓丸 of 方剤別漢方薬

●当帰芍薬散のタイプ
虚証のオ血(血虚)と水毒による症状で、主訴は貧血と腹痛です。全体的にみて貧血性で筋肉の緊張は弱く、やせ型、色白で、脈も沈んで弱く、腹壁は一般に軟らかいです。
腹痛は下腹の深部に起こり、温かい手で按ずると軽快します。小便は近く多量で、ときには浮腫があります。訴えは全身倦怠感、足の冷感、頭重、めまい、耳鳴り、肩こり、腰痛、動悸などです。
●桂枝茯苓丸のタイプ
体質はしっかりしていて、実証で赤ら顔が多く、腹は大体において充実しています。主訴はのぼせ症で、手足が冷える、頭痛、肩こり、めまいなどを訴えます。桂枝茯苓丸は、下腹部に凝滞したオ血を和らげ、めぐらし、炎症を去り、疼痛を緩和し、オ血によって生じた諸疾患を治します。

●サフランについて
アヤメ科サフランの雄しべの花柱を使用します。キク科のベニバナの花を紅花というのに対し、番紅花と呼ばれています。花柱30gを集めるのには、4300の花が必要とされ、非常に高価なものです。
ヨーロッパでは健胃薬や鎮静・鎮痛・通経薬として知られ、中国では、活血・通経・清心の効能があり、血を調えて気分をさわやかにし、うつ病や胸苦しさ、月経異常、産後の腹痛などに用いられます。日本の民間では、生理痛、生理不順に用い、婦人薬などにも配合されています。

●ビタミンＥ（酢酸トコフェロール）について
細胞の酸化を防いだり、ホルモンの分泌を円滑にする働きがあります。
また、血管中での血液凝固を予防する作用が認められており、末梢の血行障害による肩こり、手足のしびれ、冷え、しもやけ、更年期ののぼせ、月経不順などに用いられます。

左の写真は当帰の花です。
当帰の作用は次の通りです。
●補血作用…血の機能を高め、身体の栄養分を補います。
●行血作用…子宮を収縮して、瘀血（流れの滞った状態の血液）を排出したり、子宮の痙攣を抑えます。
●潤腸作用…腸内の水分不足を改善し、便秘に効果を発揮します。
●調経作用…月経を調節します。
●鎮静作用…気持ちを静める作用です。