フレイルとは:加齢に伴い「筋力・食べるカ・認知機能、社会とのつながりを含む心と体の活力」が低下した状態を指します。


概 要

フレイル予防の要素が備わっているウォーキング

フレイル予防には、しっかり栄養をとって運動をすること(身体的要因)、様々な活動や作業を通して認知機能を保つこと(精神的要因)、人との交流を積極的に行うこと(社会的要因)の3つが重要とされていますね!。

手軽にできるウォーキングは、フレイル予防にぴったり!運動機能の向上はもちろん、外に出ることでリフレッシュできたり、社会と関わるきっかけになった○と、身体的・精神的・社会的に良い刺激になります。

フレイル予防のための効果的なウォーキング方法

ウォーキングは、下半身の筋力を鍛えて歩行能力を高めたり、体力づくりにおすすめの有酸素運動です。

ゆっくり、のんびりとウォーキングするのもリフレッシュにはなりますが、フレイル予防には、正しいフォームで歩くこと、少しきついと感じる速さで行うことが重要です。

そして何より継続することが大切です。

効果的な方法でウォーキングを継続し、いつまでも元気で生き生きとした生活を送りましょうね!


主症状

フレイル予防のウォーキングポイント

フォームを意識する

ウォーキング 正しいフォームを意識して歩きましょう。

筋力や柔軟性がさらにアップします!

参考:筑波大学体育系健康増進学研究室 新型コロナウイルス感染症対策に係る外出等自粛要請期間中のフレイル化予防運動の手引き

速度を意識する

ふつう歩き・早歩き 少しきついと感じる程度の速さは、筋力や心肺機能を強化してくれます。

「少しきつい」を長く続けるのは大変なので、「普通歩き」と「早歩き」を交互にして行ってみましょう。

※1日10分程度から始め、無理のない範囲で行いましょう。

継続する工夫を取り入れる

個人差はありますが、運動を始めて1週間日くらいから汗をかきやすくなった、1ヶ月すると歩くのがラクになった、3ヶ月すると疲れにくくなったなど、継続することで様々な変化を感じられるようになります。

続ける工夫をして「習慣」にしていきましょう。


治 療

コグニサイズにチャレンジ!

「コグニサイズ」とは?

英語のcognition(認知)とexerdse(運動)を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)といいます。

運動で身体の健康を促しながら、脳の活動を活性化させることで、といわれています。

ウォーキングをしながら、認知課題(しりとりや川柳、100から3を引き続ける計算など)を同時に行う「コグニサイズ」にぜひ取り組んでみましょう!

※公園など車が通らない安全な場所で行いましょう。


治則説明

継続ずるためのポイント

歩数計を使う

歩数計 運動した量が具体的になり、目標が立てやすく達成感も味あえます。 スマートフォンのアプリを使用しても同様です!。

無理に毎日行わない

シューズ あまり気負いすぎるとウォーキングを続けることが苦痛になりかねません。

無理はせず週に1~2回からでも継続することが大事です。

毎日記録をとる

記録ノート 歩数の増加や体調の変化などを記載し、目に見えて分かるようにすることで、継続へのモチベーションが高まります。

目標を設定する

歩くことを目標にするのではなく、ウォーキングの先につながる目標を立てることで継続しやすくなります。

キャッチボール 例えば…

○血糖値や血圧などの数値を下げる

○体力をつけて孫と一緒にキャッチボールをする

〇1週間続けたらおいしいランチに行くなど



備 考

「メタボによるフレイル(高齢者虚弱)(心身の虚弱)リスク」について

肥満でフレイル(高齢者虚弱)に

体重計 つい食べ過ぎて体重が増えやすいです。運動不足が重なると肥満領域の体重に突入しますよ!。

BMI(体格指数=体重kg÷身長mの2乗)で「25」以上は肥満とされ、身長170センチの人なら体重73キロ以上に相当します。

太っていて身体ががっちりしていれば、痩せている人よりも体力がありそうなメージを持つ人もいるでしょう。

しかし、肥満の人もフレイル(高齢者虚弱)(心身の虚弱)に陥りやすく、健康寿命を縮め、要介護リスクを上げてしまいます。

痩せている人は体力が低下しやすいのですが、太っている人も、腰痛や膝痛などで身体活動能力が低下するとフレイル(高齢者虚弱)に陥りやすいのですよ!。

健康予防のギアチェンジ

肥満や糖尿病などを合併したメタボリックシンドロームの方は減量のために運動習慣と食事制限が欠かせません。

フレイル ところが、フレイル(高齢者虚弱)予防では体重を維持してタンパク質などを含め、食事をしっかりとることが求められます。

つまり、予防が相反しているのですね!。

肥満やメタボは痩せなければいけないのですが、フレイル(高齢者虚弱)は体重が減ってやせてしまうと悪化しますよ!。

フレイル(高齢者虚弱)予防のために食べ続けて運動不足のままでは、当然のことながら、肥満やメタボは解消しにくいです。

肥満&メタボとフレイル(高齢者虚弱)を同時に予防するのはとても難しいのですよ!。

肥満やメタボはフレイル(高齢者虚弱)リスクがあることを意識して、中年期の早い段階で改善・予防に努めましょう。

65歳未満と65~74歳のプレ高齢者の一部が肥満やメタボ対策をしっかり行う。

75歳以上はフレイル(高齢者虚弱)対策に切り替えることが重要です。

2型糖尿病治療薬で改善

そもそもメタボは、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を発症するリスクが、そうでない人と比べて約3倍といわれます。

フレイル(高齢者虚弱)は要介護のリスクを上げますが、脳卒中も認知症に次いで要介護の原因の第2位に位置します。

また、中年期の肥満が認知症のリスクを上げるとも報告されています。

つまり、メタボを改善するとフレイル(高齢者虚弱)、認知症、心血管疾患の3つの要介護リスクを下げることにつながるのですね!。

肥満 現在、2型糖尿病の治療薬は、食欲を抑えながら体重も落とすことができるものがあり、血糖値コントロールに取り組みやすくなっています。

メタボも解消しやすい。健康診断で異常値を指摘された場合は、放置せずに適切な治療を受けていただきたいと思います。

肥満やメタボを改善して75歳の壁を乗り越えしょうね!。

健康長寿を伸ばしたならば、さらに高齢期の健康維持のためにフレイル(高齢者虚弱)予防に励む。それが、生涯続く健康寿命に寄与しますよ!。

老人 2型糖尿病の治療で75歳の壁を乗り越え、現在、90歳以上で元気に過ごされている患者さんはたくさんいます。

元気に長生きを実現するため、メタボは放置しないようにしましょうね!。

【健康常識】に異を唱える by 和田秀樹

健康常識とは?

介護などに頼らず、健康で自立した日常生活を送れる期間を「健康寿命」と呼ぶ。

8月、健康計測機器メーカーのタニタが40才以上の男女2500人に行った調査では、理想の健康寿命の平均は男性85.55才、女性86.99才だった。

厚生労働省調査による実際の健康寿命の男性72.68才、女性75.38才とは、男女とも10才以上の開きがあった。

“実力以上”の健康長寿を望む多くの人が頼るのが、世にはびこる「健康常識」だ。

だが精神科医で老年医学の専門家の和田秀樹さん(62才)はその常識に異を唱える。

「日本の医者や病院が紹介する健康常識は、実は日本人を対象とした科学的調査では証明されておらず、本当に日本人に当てはまるかわからないものが少なくない。

それどころか、なかには不健康をもたらすものもあるのです」

著書『80歳の壁』などが次々とベストセラーになった和田秀樹医師。医学界の権威に背を向ける“異端の医師”が、従来の常識を覆す数々の健康法を披露する。

食生活

健康づくりの基本とされる食生活。多くの医者は「カロリーオーバーに気をつけて」と忠告するが、和田秀樹医師は「高齢者は食事をがまんする必要はない」(和田秀樹医師)とピシャリ。

「多くの高齢者は“たいして働いていないから食事は低カロリーでいい”と考えますが、大きな誤解です。高齢になるほど意識してたんぱく質を摂らないと、筋肉の衰えや減少が進み、老化が進行する恐れがあります。

たとえ本人が“あじの干もので充分”と思っても、それでは栄養不足でかえって不健康になります」(和田秀樹医師)

ステーキ 同様に「肉を食べすぎてはいけない」にも、だまされてはいけない。

「肉はコレステロールを多く含み、動脈硬化や心筋梗塞の原因になるといわれます。

しかし、コレステロールには免疫機能を高め、意欲や筋力のもととなる男性ホルモンを増やす作用があるので、性別を問わず健康のために肉を食べるべきです。ちなみに私は最近まで、朝食にステーキを食べていました」(和田秀樹医師)

実際、東京都老人総合研究所が70才の高齢者を対象に追跡調査を行った「小金井研究」で、コレステロール値と死亡率の関連を調べたところ、最も長生きしたのは男性190?219mg/dL、女性220?249mg/dLという、正常よりコレステロール値が高めのグループだった。逆に死亡率が最も高かったのはコレステロール値が男性は169mg/dL以下、女性は194mg/dL以下のグループだ。

塩分と脂肪

塩 医者の健康指導の王道ともいえる「塩分は控えめに」にも和田秀樹医師は懐疑的だ。

「塩分が多いと血圧が上がって動脈硬化を引き起こすとされますが、そもそも塩分を控えると動脈硬化が防げるという国内の疫学調査はありません。

また高齢者は腎臓にナトリウムをためる機能が低下します。そこからさらに塩分を控えると低ナトリウム血症を発症し、意識障害や痙攣を併発するリスクが高まります」(和田秀樹医師)

多くの医者が「身体に悪い」と敵視する脂肪にもさまざまな健康維持の役割がある。

「脂肪には脂肪を燃焼する作用があるので、脂肪を完全に断つと古くなった脂肪を燃やせず、筋肉を分解してエネルギーを作ることになります。そのため身体脂肪が減らず、筋肉量が低下します。

また脂肪は身体や免疫細胞の材料として欠かせず、料理を楽しむうえでも大切な調味料。過剰摂取はNGでも、適度に摂ることは心身に好影響を与えます」(和田秀樹医師)

「食」の大切さ

老年医学の専門家として多くの患者を診た和田秀樹医師が改めて「食」の大切さを説く。

「日々、多くの患者を診療して感じるのは、“食べていない人は元気がない”ということです。食事制限で低カロリーや低栄養、低コレステロールの食事を続けると早く老けてしまう。

栄養が余ることで生じる害より、栄養が足りないことで起きる害の方がはるかに大きくなります。

人間の身体が欲するのは、身体に必要なものなので、まずは食べることを優先してほしい。

ラーメン また、自炊よりコンビニ弁当や外で食べるラーメンの方が多くの食材を使っていて、身体にいい可能性が大きい。外食に罪悪感を持たないでください」(和田秀樹医師)

和田秀樹医師の食生活

そんな和田秀樹医師の食生活はというと……。

「食事制限はもってのほかで、朝はおにぎりや総菜パンにヨーグルト、昼は好物のラーメンとチャーシュー丼に卵をトッピング。

夜は、週3日は外食で晩酌のワインを欠かさず、それに合わせて魚と肉を2日おきで交互に食べています」(和田秀樹医師)

新・健康常識

食事制限はしなくてもいい、カロリーオーバーしてもいい。
肉は食べた方がいい。
塩分不足は命を左右する。
脂肪は身体に悪くない。
コンビニ弁当や外食のラーメンを食べてもいい。
血圧などの数値にこだわらない。
やせ型より太り気味の方が長生きする。
60代以降のダイエットは健康に直結しない。
治療や節制の有無で寿命が変わるかどうかはわからない。
「心臓ドック」と「脳ドック」さえ受けておけばいい。
病院や医者の肩書より実績。
激しい運動は老化を促進させる。
睡眠時間は何時間でもいい。

【プロフィール】

和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年6月7日生まれ、大阪府出身。
東京大学医学部卒業後、東大医学部附属病院精神神経科、高齢者専門の浴風会病院、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、11月よりルネクリニック東京院院長。
30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わる。著書『80歳の壁』がベストセラーに。