関節痛や神経痛などの悩みを抱えていると、日頃の家事も辛くなり、外出にも消極的になってしまいます。毎日を明るく元気に過ごすためにも、痛みの症状はなるべく和らげたいものです。

はっきりした痛みではなくても、指がこわばる、膝の曲げ伸ばしがつらい、といった関節の不調を感じたら、早い段階で改善するよう心がけましょう。


概 要

体力不定でバリア機能が低下。加齢による「腎」の衰えにも注意

体内を十分な気・血が巡り、陽気が満ちていれば、痛みの原因となる邪気の侵入から身体を守ることができます。反対に、加齢や疲労、病後などによる虚弱体質で気一血が不足していると、身体のバリア機能が低下して邪気が侵入し、痛みが起きやすくなってしまうのです。

また、「腎」は骨の生育、「肝」は筋(筋肉と骨についている腱、筋膜、じん帯)の働きと深い関わりがあるため、加齢によって腎や肝の働きが衰えていると関節が老化していることも。

この体質(証)の養生は、まず体力を十分につけて体内の気・血を養うことが基本。高齢の方は、腎・肝の機能を高めて関節の老化を防ぐことも大切です。

脾腎陽虚証は、骨粗症や脊椎管狭窄症の方に多い

筋肉萎縮、腰や下肢の冷えが著明、寒がり、腰や膝のこわばりと脱力。


主症状

●疲れると関節痛・神経痛・筋肉痛・腰痛・膝痛などが強くなる。
●関節がスムーズに動かない。
●歩きにくい、疲労感、息切れ、足腰がだるい。
●手足の冷え、風邪をひきやすく治りにくい。


治療原則

補腎益精・補腎壮養


治則説明

腎の精気を補充して腰等を充養します。


使用漢方薬

次の漢方薬が、辛い痛みの改善・虚弱体質・脾腎陽虚証に対してよく効く可能性が高いです。

医薬品個人輸入 説明表示をクリック(タップ)→説明表示 いらっしゃいませ

処方名:八味地黄丸 合 六君子湯

八味地黄丸 合 六君子湯 本証に適合する合方

処方名:八味地黄丸 合 補中益気湯

八味地黄丸 合 補中益気湯 骨粗症の方に良いです。

処方名:八味地黄丸 合 人参湯 合 加工附子末(少量)

八味地黄丸 合 人参湯 合 加工附子末(少量) 胃腸が弱く、足腰が冷えて痛む方。

処方名:牛車腎気丸 合 五苓散

牛車腎気丸 合 五苓散 腰や下肢に浮腫がある方。

【八味地黄丸の症例・治例】

次の症例に近い病症の方は、本方剤をお奨めします。

〈骨粗鬆症による背中の痛みが引いた〉

治例図 Hさん(70歳・女性)は、老人会のバス旅行に参加して、帰宅後に背中が痛みだしました。

すぐにかかりつけの病院に行ったところ、骨粗鬆症のため、骨が弱って少し変形しているために痛くなった、との診断でした。

その医院は漢方も扱っていたため、西洋薬と八味地黄丸が処方されました。半年ほど服用していると、背中の痛みもだいぶよくなりました。骨の変形は治りませんでしたが、現在は骨の密度も比較的安定し、痛みはも消え、元気に過ごしているそうです。

・現代病名:骨粗鬆症


区切り線


舌 質

淡白


淡白


舌 苔

薄白苔


薄白苔


脈 診

沈弱 沈弱


食 養

食養辛い痛みの改善-虚弱体質-脾腎陽虚証対応の方は、次の食材を積極的にお召し上がりください。

肉 果物 野菜 温野菜 魚

次の体内の気・血を養い、腎・肝を補う食材を食しましょう。

●黒豆、●大豆製品、●松の実、●豚足、●くるみ、●鶏ガラ、●ごま、●手羽、●豚マメ(豚の腎臓)、●テールスープ


備 考

生活習慣の心がけで痛みを予防

痛みの症状を防ぐためには、日頃の生活に気を配ることも大切です。痛みを引き起こさない工夫、関節を健やかに保つ身体づくりなど、痛みを防ぐ生活習慣を心がけましょう。

●身体を冷えから守る
冷えは痛みの大敵です。温かい服装を心がける、入浴で身体を芯から温める、冷たい飲み物や食べ物はなるべく避けるなど日頃から身体を冷やさない工夫をしましょう。

●湿の侵入を防ぐ
湿も痛みの原因になります。汗をかいたら早めに着替える、水分の摂り過ぎに注意するといった心がけも大切です。

●関節に負担をかけない運動を
適切な運動で筋肉を強化し、関節の負担を少なくすることも大切です。散歩や水中ウォーキングなど、関節に負担をかけずに無理なく続けられる運動を心がけていきましょう。

●健康補助食品を取り入れる
グルコサミンやコンドロイチンは、関節のスムーズな動きに欠かせない軟骨の構成成分です。安全性の高い健康補助食品を選び、中医弁証学の養生と併用することもおすすめです。

●出産後はゆっくり休養を
産後は腰痛などに悩まされる人も少なくありません。産後の身体はとても疲労しているものです。バランスの良い食事や十分な睡眠、温かい服装などを心がけ、身体をゆっくり養いましょう。無理な運動も禁物です。