老化が進む
概 要
様々な老化現象は、腎陽虚が原因に
「老化の進み方の差は、腎虚の進み方の差」と中医学では考えられています。それは、腎は生命を維持するエネルギー源「精」の貯蔵庫となっているからです。腎の機能が低下すると、骨や歯がもろくなる、排尿がうまくいかない、といったさまざまな老化現象が現れます。
認知症もその一つ。「腎は精を蔵し、精は髄を生み、髄が脳を維持している」と考えられているため、腎虚により精が不足すると脳髄も空虚になり、記憶に障害が現れるのです。
このように、認知症に限らず老化現象を予防するためには、腎を養う「補腎」、精を増やす「益精」が大切です。老化をなるべく穏やかにして元気な身体で老後を過ごすよう、日頃からの対応を心がけてください。
治 療
@高齢化社会の到来をひかえ、脳循環代謝改善薬に期待が集まっていますが、その効果はいまだ満足のいくものではないし、副作用も無視できません。
一方、漢方薬で本症に有効なものが挙げられており、特に黄連解毒湯、釣藤散、当帰芍薬散などの効果について、詳細に報告されています。
一般的には漢方薬を使用することで精神的に落ち着き、食欲が出て精神的にも肉体的にも活気が出ることが多いです。
A本病には全身状態の低下している方が多く、このような方に漢方薬を投与すると、体力増強をはかることができます。
●治療原則:補腎助陽
使用漢方薬
次の漢方薬が、認知症・腎陽虚・に対してよく効く可能性が高いです。
処方名:八味地黄丸
本証に対する基本方剤。
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処方名:八味地黄丸 合 六君子湯
胃の弱い方。処方名:真武湯
新陳代謝が低下し、寒がり、泥状便や下痢などがある方。
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処方名:牛車腎気丸
下肢の浮腫やしびれ感のある方。
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舌 質
暗淡
舌 苔
薄白苔
脈 診
細弱
食 養
味のしっかりしたもの、動物性のものなど、補腎の効果のある食べ物を摂るようにしましょう。
●きのこ類
●クコの実
●白きくらげ
●にら
●くるみ
●スッポン
●黒ごま
●松の実
●うなぎ
●霊芝茶
備 考
老後は「本物の人生」。毎日を楽しく穏やかに
認知症をはじめとするさまざまな老化現象は、年齢を重ねることでどんな人にも現れるもの。もちろん老化を止めることはできませんが、健康を保つ工夫をしたり、余裕ができた時間を楽しく過ごしたりと、自分次第で老いと上手に付き合りことはできるものです。認知症を予防するためにも、毎日をイキイキと前向きに暮らすことはとても大切なこと。例えば、趣味や会話の時間を増やす、1日1回は笑う、といった良い刺激を与えることは認知症の予防につながります。花や緑を楽しんだり、温泉でゆっくりしたり、そんな自然との触れ合いもいいですね。
また、左右の手を交互に使って歯みがきをしたり、両手で肩をもんだりすると、脳を鍛えることができます。食事はうす味、加熱を心がけて、ゆっくりと気持ちよく食べましよう。
老化への焦燥感、不安感などでストレスを溜めることは禁物。江戸時代には、仕事をする必要がなく、自分の好きなことを存分に楽しめる老後こそ「本物の人生」と考えられていたそうです。より長生きになったわたしたちも、そんな風に楽しく元気な老後を過ごしたいものですね。