多くの人が悩まされる頭痛。痛みを感じるとつらいものですし、強い痛みや慢性的な頭痛は日常生活に支障をきたすこともあります。鎮痛剤に頼るだけでなく、まずは自分の体質を見直して、身体の中から頭痛を予防するよう心がけましょう。


概 要

慢性頭痛(目次)

頭痛にはさまざまな症状があり、その体質(証)は大きく2つに分けられます。一つは、風邪や湿気など外から入ってくる邪気の影響で起こる「急性の頭痛」で、ズキズキ、ガンガンする強い痛みが特徴です。もう一つはキリキリと刺すような痛みや、重く締め付けられるような痛みが多い「慢性の頭痛」で、一般に多く見られる片頭痛などはこの体質(証)にあたります。

中医弁証学では、こうした頭痛の主な原因は「不通則痛(通じざればすなわち痛む一流れが滞ると痛みとなる)」と考えます。つまり、気や血の流れが悪くなると頭痛などの痛みが発生するということです。 ドロドロ血や水分代謝の低下、生活上の圧力、かぜなどが主な原因となります。

また、脳にとって大切な「気(生命エネルギー)」や「血(血液、身体の働きを支える栄養素)」が不足するこ頭痛体質を改善とで、頭痛が起きることも。このような状態を「不栄則痛(栄えざればすなわち痛む一栄養が足りなければ痛みとなる)」といいます。

このように、頭痛は身体全体の問題として考えることが大切。痛みを抑えるだけでなく、体内を健やかに保つことで、頭痛が起きにくい体質に改善することを心がけましよう。

ただし、頭痛には脳腫瘍やくも膜下出血など重大な病気が潜んでいることもあるので注意が必要です。がまんできないほどの激痛を感じたり、日を追うごとにジワジワと痛みが強くなったりする場合は、すぐに病院で検査を受けるようにしてください。

①風寒証、風熱証は外因による頭痛で、これに肝陽上亢証を加えた三つの証は比較的急性の頭痛です。
②肝気鬱結証、痰湿証、癖血証は慢性の実証の頭痛で、気虚証、血虚証、腎陽虚証ば慢性の虚証の頭痛です。


治 療

①漢方薬は西洋薬のように切れ味の鋭い鎮痛効果はないですが、その代わり体調や合併症状など、身体全体の改善を通じて頭痛を治していくことができます。
そのため、弁証をして患者に合った方剤を選ばなくてはいけないし、漢方薬を続けることで頭痛を根治させることも可能です。
②筋緊張性頭痛には、漢方薬による頸や肩の筋緊張の治療が頭痛の予防になります。
③自律神経失調症に伴う頭痛では、漢方薬で自律神経失調を治療すると、頭痛も自然に軽快します。



備 考

慢性的な頭痛に悩まされている人は、まず自分の体質を見直すことが大切です。頭痛の症状か5身体に潜む原因を考え、頭痛の起こりにくい体質に改善していきましょう。