漢方薬 中医師 漢 方

腎陰虚;腎の陰液不足によるもので、腎虚の症候以外に熱証(虚熱)を呈します。

虚熱は陰液の不足による陽気の相対的亢進によるものとされますが、実際には体内の物質的基礎の不足にもとづく代償性の異化作用亢進とそれにともなう内分泌機能亢進・自律神経機能の亢進・脳の抑制過程減弱による相対的な興奮過程の増強などによる症候と考えられます。
【主症状】
腎虚の症状以外に、体の熱感(午後に多い)・のぼせ・手のひらや足の裏のほてり・口の咽の乾き(夜間に強い)・顔面紅潮・いらいら・不眠・多夢・ねあせ・尿が濃い・便がかたいなどの熱証を呈する。体はやせ、皮膚が乾燥してつやがないことが多い。男性では性欲が亢進ずるが、精液が少なく快感がないあるいは勃起が持続しないなどの症状がみられ、女性では月経過少・周期が一定しない・不正性器出血などが現れます。
舌質は紅〜深紅で乾燥、舌苔は少、あるいは無苔、脈は細数。
とくに熱証が顕著なものは、陰虚陽亢(陰虚火旺・陰虚火動)といわれます。
【論治】
治法は滋補腎陰で、陰虚陽亢には滋陰降火を行ないます。地黄・天門冬・玄参・何首烏・山茱萸・女貞子・亀板・士別甲などの滋陰薬に、青嵩・銀柴胡・白薇・知母・黄柏・地骨皮などの清虚勢薬や牡丹皮・山楯子・黄連などの清熱薬を加えます。
【代表方剤】
●補陰剤…六味丸・二至丸・左帰丸・左帰飲など。
陰虚陽亢には、
●補陰剤…知柏地黄丸・滋陰降下湯・大補陰丸など。