概 要
脾による生血不足と心血の消耗により心神が安定しない病態。
くよくよしやすく胃腸が弱いタイプ。
【虚証】
過度の思慮や過労による心血の消耗と脾気の損傷で、心血と脾気の両面が不足し、脾による気血の生成も不足するため、心血の濡養が不十分になって心神が不安定になり不眠が生じる病態です。
栄養不良による精神不安定に相当し,日常的によくみられます。
【主な症状】
・眠りが浅く夢をよくみて夜間によく目が覚める
・顔色につやがない
・動悸
・もの忘れ
・舌質が淡白
・脈が細いなどの心血虚の症状に
・食欲不振
・疲れやすい
・倦怠感
・日中に眠い
・脈が弱いなどの脾気虚の症状を伴う
治 療
益気健脾・補血養心…脾気を健運させて気血の産生を促し、心血を滋養して心神を安定させます。
使用漢方薬
次の漢方薬が、不眠症に対してよく効く可能性が高いです。
処方名:帰脾湯
処方名:加味帰脾湯
処方名:人参養栄湯
処方名:甘麦大棗湯
処方名:竹筎温胆湯
他のサイトへのリンク
食 養
不眠を解消するには、日頃の食生活もポイントとなります。
春菊やセロリ、セリなどの苦みがある香り野菜は、興奮を抑えて精神を安定させる働きがあります。
青じそを3枚ほどカップに入れてお湯を注ぎ、香りが出たら飲む「青じそ茶」やミントティも効果的です。
また、ミカンやオレンジなどの柑橘類もストレスを和らげ、リフレッシュさせる効果があります。
ミルクやヨーグルトなどの乳製品も鎮静効果があるので、眠れない夜はホットミルクでカルシウムの補給をしましよう。
ツ ボ
不眠に効くツボと足浴
「頭寒足熱」の言葉どおり、足を温めると眠りに入りやすくなります。
寝る前に足浴や不眠に効くツボを押して、リラックスしましよう。足の裏には、ツボが集中しているので、下記の「失眠」を中心に、全体をもみほぐすようにします。
失眠(しつみん)
足の裏のかかとの中央にあるツボ。神経を休めて内分泌の働きを整える効果があります。
養 生
不眠症は、精神心理的素因や生活環境と関係の深い疾患です。その治療は完全に薬に頼っては難しい場合もあります。したがって精神面のコントロールや生活環境改善のための養生が大切です。
1.ストレスや暴怒など激しい感情変化を避ける。気功や呼吸の調節法は、精神活動の安定に有効です。
2.就寝前に煙、酒、濃い茶、濃いコーヒーなどの飲み物は禁止します。
3.食事、特に夜食は控え目に、また辛い食物など興奮性の飲食物は避けます。
4.適度の運動(例えば、散歩、太極拳、気功など)は睡眠によいですが、寝る前の激しい運動はよくないです。
5.寝室の室温や明るさなどの調節も重要です。
備 考
最もよくみられる病態